流浪の月 : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

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2022年製作日　（150 min）

監督：李相日　フラガール　 69 　許されざる者　怒り
出演者：
広瀬すず　ちはやふる -結び- 　チア☆ダン女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話　ちはやふる下の句　ちはやふる上の句
松坂桃李　スオミの話をしよう公　孤狼の血 LEVEL2 　キセキ -あの日のソビト- 　ツナグ
横浜流星　正体公　線は、僕を描く　アキラとあきら　嘘喰い

多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季

あらすじ：雨の夕方の公園で、びしょ濡れになっていた10歳の少女・家内更紗。　19歳の男子大学生・佐伯文は、伯母の家に帰りたがらない彼女を2か月家に泊めたために、誘拐罪で逮捕されてしまう。　…15年後、“傷物にされた被害女児”と“ロリコンの犯罪者”という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会。　互いの距離は近づいてゆくが…。　ヒューマンドラマ。

原作：凪良ゆう（2020年本屋大賞受賞作）

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捏造を含む個人情報が簡単に広まってしまう昨今、一度公になった過去を隠すことなど出来ません。　15年前の誘拐事件の真相はどうあれ、「加害者」と「被害者」が親しくなることを「世間」は許さないのです。　文と更紗が互いを大切に思う気持ちを、どんな「愛」と呼べば良いでしょうか？　　残酷で切ない運命を描きます。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★★
本作の主人公は、24歳の女性・家内更紗・かないさらさ（広瀬すず）。彼女は15年前、当時19歳の大学生・佐伯文・さえきふみ（松坂桃李）に誘拐され2ヶ月も監禁された被害女児。現在はファミリーレストランの店員をしていて、恋人の中瀬亮（横浜流星）と同棲中。逮捕された加害者・文は、現在は名を変えて深夜カフェ「calico（更紗の意味）」を営んでおり、谷あゆみ（多部未華子）という恋人がいる。

行方不明時の捜索用の顔写真や逮捕時の動画までが全て実名で報道されたため、今だに検索すればすぐ特定されてしまう。事件以降、更紗は「誘拐され汚された悲劇の被害女児」という同情を含んだ好奇の目に晒され続けてきた。一方、「危険なロリコン誘拐犯」という烙印を押された前科者・文は、周囲に正体が知られる不安を常に抱えている。

しかし、15年前の事件は単なる誘拐ではなかった。家に帰りたくない事情があった更紗が、自分の意思で文の部屋に居候したのであり、文は何ひとつ危害を加えていない。それでも客観的に見れば「誘拐犯罪」なのは、文にも分かっていたはず。更紗は自分のワガママで文を犯罪者にしてしまったことに、大きな負い目を感じている。そんな更紗と文が、15年ぶりに偶然再会した。

更紗と文の「関係」は、通常の物差しでは計れない。事件当時は小学生と大学生だったが、現在はカフェの客とマスター。大人同士で好意を持てば恋人へと発展してもおかしくないが、彼らの場合は「世間」が決して許さない。それが第2の事件（？）へと繋がってゆく。

文の性的嗜好は謎に包まれている。大人の女性が苦手な男＝全員ロリコンではない。恋人・谷と大人の付き合いをしていたのなら、今の更紗でも愛せるかもしれないが、本当のロリコンだったら、小学生の更紗は良くても大人の更紗ではダメということになる。終盤で文の事情が明かされる。

15年前の一緒に過ごした2ヶ月は、更紗と文にとってかけがえのない時間だった。ずっと離れていても互いを大切に思い、近くにいる恋人よりも理解し合っている。そういう感情が大人の男女としての愛なのか、孤独を知る者同士の共感や友情なのか、兄妹や父娘のような情愛なのか、ストックホルム症候群（被害者が加害者に好意を持ってしまう）なのか、贖罪意識なのか、彼ら自身も説明出来ないかもしれない。2人が平穏無事に暮らせる日が、いつかやって来るだろうか…？

原作は2020年に本屋大賞を受賞した、凪良ゆうのベストセラー小説。広瀬すずが大人の女性の顔になった。松坂桃李の静かすぎる表情に惹き付けられる。横浜流星と多部未華子が、「嫌な感じの恋人」を演じている。性癖・身体・愛の多様性、永遠に止められない情報のネット流出、DV（ドメスティック・バイオレンス）やストーカーの恐怖、育児放棄、幼児虐待、頼れる身内がいない不安と孤独、不特定多数の圧力、事実と真実の差異など、社会の様々な事象を映し出す、ズシリと心に響く切ないラブ・ストーリー。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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