罪の声 : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

罪の声

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2020年製作日　（144 min）

監督：土井裕泰　いま、会いにゆきます　映画ビリギャル　麒麟の翼劇場版・新参者　涙そうそう
出演者：
小栗旬　キサラギ　ミュージアム　 TAJOMARU 　銀魂2 掟は破るためにこそある
星野源　引っ越し大名！　箱入り息子の恋　地獄でなぜ悪い　 69
松重豊　青春18×2 君へと続く道公　老後の資金がありません！　着信アリ　バイプレイヤーズもしも100人の名脇役が映画を作ったら

古舘寛治、宇野祥平、篠原ゆき子、原菜乃華

あらすじ：35年前、誘拐・身代金要求そして毒物混入など食品会社への脅迫事件が相次ぎ、日本中を震撼させた「ギンガ・萬堂事件（ギン萬事件）」。　大日新聞の記者・阿久津英士は、既に時効となったこの未解決事件の担当となる。　一方、京都の注文紳士服店の2代目店主・曽根俊也は偶然、ギン萬事件の脅迫に使われた3人の子どもの声のうちの1つが、幼い頃の自分の声であることに気づく…。　ミステリー。　「俺の声だ―」

原作：塩田武士

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実在の大事件をモデルに創作されています。　知らぬ間に大事件に関わってしまった子どもたちは、今どうしているのか？　法的な時効では区切りを付けられない現実が、新たに浮かび上がります。　関係者それぞれの35年間と事件の真相が明らかになっていく、重厚な物語です。　

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★★
本作は、経営者が誘拐され商品に毒物が混入された有名な「食品会社連続脅迫事件」をモデルにしている。「3億円事件」と同じく未解決の劇場型犯罪で、一般消費者や小売店までをも恐怖に陥れた点が特徴的だ。故意または過失による食品の異物混入事件は時折起こっているし、ウイルス感染も恐れられる今、食品関連業者の心配は尽きないことだろう。

主人公の新聞記者・阿久津英士（小栗旬）は未解決事件特集班の担当となり、35年前に日本中を震撼させた一連の食品企業脅迫事件「ギンガ・萬堂事件（ギン萬事件）」を追う立場となった。同じ頃、京都の注文紳士服店の店主・曽根俊也（星野源）は、幼い頃の自分の声が「ギン萬事件」の脅迫に使われていたことを偶然知り、身内が事件に関わっていたのではという不安にかられる。

阿久津と曽根は途中まで顔を合わせない。スマートフォンやインターネットの現代から、公衆電話やカセットテープの昭和へとタイムスリップする感じで、同年代の彼らは別々のルートで真相を探り始める。阿久津は仕事なのでドライに取材を進めて行くが、曽根の方は悲壮感が漂っている。時効とはいえ誰もが知る大事件なので、商売や妻子にまで影響が及ぶのではと気が気でない。

1人は身元のしっかりした新聞記者、1人は犯行に声を使われた子ども本人ということで、口の重かった関係者も内心ずっと気にしていたらしく、知っている限りのことを教えてくれるようになる。中には怖くて口をつぐむ人物もいるが…。謎の第1は犯人グループの行方と犯行目的で、第2は企業への脅迫テープに声を使用された3人の子供たちの行く末だ。

　
今まで何も知らずに育った曽根はささやかな幸せを手に入れたが、あと2人の少年少女はどこでどうしているのか？　ドラマティックな展開に、一気に引き込まれてゆく。事件に加担させられた子ども3人は、加害者ではなく被害者。今もちょっとした犯罪に小さな子どもが利用されるというが、善悪も分からず大人に言われるままやっているか、無理やりやらされているのだ。未成年なら罪が軽くなるため、オレオレ詐欺などに利用されることもあるらしい。罪を自覚できる青少年は別として、低年齢の場合は大人が悪いとしか言いようがない。

犯人が事件のヒントにしたというハイネケン事件（ドイツのビール会社社長誘拐事件）との類似点や、阿久津のイギリス出張、犯人の意外な犯行動機などで話を大きく膨らませた上で、謎に包まれた事件の真相が明らかになってゆく。そして、3人の子どもの人生を深く掘り下げ、傷つけられた当事者にとっては法的な時効など意味がないことを知らしめている。犯罪が関係者に落とした影に焦点を当てた、重厚なクライム・ミステリー。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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