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聖なる犯罪者

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原題：BOZE CIALO／CORPUS CHRISTI

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(C)2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ.- WFSWalter Film Studio Sp.z o.o.- Wojewodzki Dom Kultury W Rzeszowie - ITI Neovision S.A.- Les Contes Modernes
DVD \4,800(税抜)2021/7/7ブルーレイ発売：ハーク／販売：ポニーキャニオン

2019年製作ポーランド・仏　（115 min）

監督：ヤン・コマサ
出演者：
バルトシュ・ビィエレニア
エリーザ・リチェムブル
アレクサンドラ・コニェチュナ

トマシュ・ジエテク、レシェク・リホタ、ルカース・シムラット

あらすじ：少年院で熱心なキリスト教徒となった20歳のダニエルは、前科者は聖職者になれないと言われても、神学校へ入学することを夢見ていた。　仮釈放され就職先の製材所へ向かう途中で教会へ立ち寄った彼は、新任の司祭と勘違いされ成り行きで教会に住み込むことになってしまう…。　実話から生まれたサスペンス。

アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、ポーランド映画賞11部門、ストックホルム映画祭主演男優賞、他多数受賞

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経験もないのに司祭の役割を何とか果たし、村人の信頼を得ていくダニエル。　元犯罪者だからこそ村人の苦しみが理解できたのか、それとも天性の信仰心が村人の心を癒していったのか…？　偽神父事件がよく起こるというポーランド。　聖職者として生きることを願った青年が、聖なる罪を犯します。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★★

「脛（すね）に傷持つ身」とは、後ろめたい過去があるため正々堂々と歩けない人のことを指す。いっそ明らかにした方が楽だろうが、そうそう簡単ではない。自分の「脛の傷」は棚に上げ、他者の個人情報を暴露するのが大好きな人は多いもの。コロナ禍の自粛巣ごもり生活は長引きそうで、ネット社会の闇もますます深まりそうだ。

本作の主人公は、ポーランドの青年ダニエル（バルトシュ・ビィエレニア）。第2級殺人罪（計画的ではない殺人）で少年院に収監された彼は、厳格なカトリック神父トマシュ（ルカース・シムラット）の影響で「神父になりたい」という叶わぬ夢を抱いてしまった。教誨師（きょうかいし：主に受刑者に教え諭す者）冥利に尽きるが、前科者は神学校へ入学できないため、神父は「良い行いがしたいなら他にもたくさん道はある」という説得力のない言葉で慰めるのみ。前科者への社会の目が厳しく再犯の誘惑が多いことは分かり切っており、「他の道」は間違いなく苦難の道である。仮釈放後に気が乗らない就職先へ向かう途中で教会を訪れた彼は、新任の司祭と勘違いされ成り行きで教会に住み込むことになった。

青みがかった映像は冷たくどんよりと重いが、東欧の教会の厳かな雰囲気を醸し出してもいる。国民の9割がカトリック信者なので神父は尊敬されている。そのためか詐欺目的や、正式な資格がないとか、欠格事由に該当する等の理由から、偽神父に成りすます者がポーランドには結構いるのだという。キリストは罪人に寛容だったとはいえ、一般市民の本音と建前は別。前科者の神父を地域の信徒全員が受け入れるとは思えないので、犯罪歴を欠格事由から外すのは難しいのだろう。

資格取得が難しく社会的地位の高い職業に偽者はつきものだが、偽者が本物より真面目で有能な場合は、犯罪と呼ぶのが気の毒な場合もある。20歳のダニエルは神父としての知識・教養や人生経験も薄かったが、収監体験から人の裏表を敏感に察知する能力を身に付けていた。祈りによって救われたため信仰心も篤い。その場しのぎのネット情報で日常業務を何とかこなし、分かりやすい言葉での説教が大きな事故で傷ついた村人の心を掴んだ。少なくともアル中の老神父よりは地域に貢献していたが、神父としての底の浅さは否めないし教会本部にバレたら大変なことになる。

少年院と教会での落差が大きすぎてどちらが本当のダニエルなのか分からなくなってくるが、時折見せる表情がハッとするほど恐ろしい。彼は羊の皮を被った狼か、それとも本当に改心したキリスト教徒か？　村の少女マルタ（エリーザ・リチェムブル）との関係や、村の若者と高齢者の考え方の違い、村人の心境の変化も見どころである。聖職者として生きることを願った青年が聖なる罪を犯す、実話から生まれたクライム・サスペンス。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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