
(C)Loro films
配給:Action Inc.+Smoke
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2018年製作 ウルグアイ・米 (75 min)
監督:デニー・ブレックナー、アルフォンソ・ゲレロ、マルコス・ヘッチ
出演者:
デニー・ブレックナー
タルマ・フリードレル
グスタボ・オルモス
イグナシオ・ロケ
、ペペ・ムヒカ(前大統領)
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あらすじ:世界一貧しい国・南米ウルグアイで、世界で初めて大麻合法化案が議会で承認された。 大統領ホセ・ムヒカは密輸業者打倒のため、薬局で1グラム1ドルで大麻を販売すると発表するが、国内に大麻がない! 「米国で供給ルートを探せ!」と命じられた薬局店主アルフレドは、偽の組織「ウルグアイ合法大麻会議所」のホームページを立ち上げ、母親と共に米国のマリファナ業界に潜入する…。 コメディ。
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前大統領が本人役で出演しオバマ大統領との会談シーンまであるので実話みたいな気がしてきますが、あくまでもこれはドキュメンタリーっぽい作りのフィクション。 選挙戦を控えた大統領からご指名を受けた薬局店主親子が、アメリカで大麻入手に奔走します。 命がけのはずなのに行動がユル過ぎて脇が甘い! 爆笑ストーリーです。
≪参考作品≫ 『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』 『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』
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<スタッフ厳選 超お薦め映画作品!>
★★★★
「ダメ。ゼッタイ。」と禁止されている薬物。覚せい剤、大麻、ヘロイン、コカインなどは持っているだけで犯罪である。他にもスレスレの合法ドラッグ、シンナーがあり、痛み止めや向精神薬なども乱用は危険視されている。どんなにダメと言われても止められない人が多いということは、よっぽど気持ちいいか依存性があると言うことなのだろう。非合法だから大っぴらには買えない。コソコソ手に入れるしかないから価格が上昇し、ヤバい方々の資金源になってしまっている。そもそも、そんなに悪いものなのか、意外と大丈夫じゃないのという人もいる。海外の映画では、老若男女がパーティーとかで楽しくハッパを吸っているじゃない。健康への害だってタバコと大差ないかもよ、とか。そういう認識の甘さと油断が、薬物中毒と転落への第一歩なのかもしれない。
そんな大麻が、世界で初めて南米ウルグアイで合法化された。先進的な大統領ホセ・ムヒカの目的は、密輸業者を撲滅すること。大麻を合法化し、薬局で1グラム1ドルにて販売すると発表したのだ。こりゃスゴイ。売春も違法賭博も、こんなウルグアイ方式で合法化すれば価格破壊で闇社会の売り上げは急降下。引いては組織の撲滅に繋がるかもしれない…?
ところが間抜けなことに大統領は知らなかった、国内に肝心の大麻がないことを。闇社会撲滅を望む常識ある有権者、または単にハッパを安く買いたい能天気な有権者を大いに喜ばせた後で、「実は大麻がなかったので、1グラム1ドル販売は中止します。」なんて言おうものなら支持率は急降下。暴動だって起こりかねない。そこで、ワケありの薬局店主アルフレド(デニー・ブレックナー:監督の1人)とその母親(ブレックナー監督の実の母タルマ:演技経験なし)が、大統領(前大統領が本人役で友情出演)の極秘指令を受け、アメリカで供給ルートを探すことになった。…念のためだが、本作は完全なるフィクションである。
ウルグアイは世界一貧しい国の一つらしい。限られた予算の中、母と息子はアメリカで007並み(?)のミッションを、あの手この手でこなしていく。そんな中、ムヒカ大統領がオバマ大統領との会談のためアメリカへやって来る。両者の会談の映像(たぶん本物)がちゃんと流れるのだから、笑ってしまう。
お調子者のアルフレドとノリのいい母親が、アメリカのマリファナ業界に潜入する様子は爆笑ものだ。ウルグアイ警察の元麻薬捜査官の助っ人がまた、おかしな奴。全員に危機感がなく脇が甘すぎ。身元がバレたら命も危ないし、拘束される恐れもあるのに、行き当たりばったりのゆるーい空気が漂っている。
実際、ウルグアイでは2013年にマリファナが合法化されたらしいが、映画と違って規制もいろいろあるのだとか。詳細も真実もかなり不明だから、尾ひれがいっぱい付いてくる。ユーモアたっぷりの、小さな国の小さな映画(75分)。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)
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