ルルドの泉で
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原題:LOURDES
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(C)2009(c)coop99 filmproduktion, Essential Filmproduktion, Parisienne de Production, Thermidor
DVD \4,700
(税抜)2012/8/3発売:新日本映画社/販売:角川書店
2009年製作 オーストリア・仏・独 (99 min)
監督:
ジェシカ・ハウスナー
リトル・ジョー
出演者:
シルヴィー・テステュー
迷宮の女
ビヨンド・サイレンス
サガン
悲しみよ こんにちは
わたしの名前は...
レア・セドゥ
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エリナ・レーヴェンソン
あらすじ:
不治の病により車椅子生活を送っている女性クリスティーヌは、「ルルドの泉」への巡礼ツアーに参加する。 そこには病や孤独を抱えた人々が奇蹟を求めて集まり、真剣に祈りを捧げていた。 「普通の生活をしたい。」と訴える彼女に、「歩ければ幸せなのか?」と問う神父。 旅も終わりに近づいた頃、クリスティーヌの身体に変化が起こり始めるのだが…。 ある奇蹟のドラマ。
ワルシャワ国際映画祭グランプリ、ヴェネチア国際映画祭5部門、ヨーロピアン・フィルム・アワード最優秀女優賞、他多数受賞
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癒しを求めて聖地に集まる巡礼者、旅行者の世話係のボランティア、カトリック教会の聖職者等、ルルドに集う人々それぞれの本音がさらけ出されます。 聖母マリアが出現したと言われる洞窟、水浴の様子、大聖堂でのミサまで全てが現地で撮影されているため、まるでドキュメンタリーを見ているようです。 「奇蹟がもし本当に起こったら…。」というファンタジックな題材を、極めて冷静に現実的に描いています。
【ルルドの泉について】 ルルドはフランスとスペインの国境に位置するピレネー山脈の麓にある小さな村。 1858年、少女ベルナデッタが聖母マリアの指示により洞窟で泉を発見し、その水が病を癒したという。 現在は大聖堂があり、年間600万人が訪れる世界最大のローマ・カトリック教会の巡礼地となっている。 (資料提供:エスパース・サロウ)
<スタッフ厳選 超お薦め映画作品!>
★★★★
近年パワースポットブームである。神社仏閣、山や湖や滝、公園へ。なぜ、人はパワースポットへ行くのか? 恋愛運や金運アップなどの現世利益が目的の人もいれば、純粋に場のパワーや静けさを求める人もいるだろう。
難病のため車椅子生活を送っている本作の主人公クリスティーヌ(シルヴィー・テステュー)は、世界的パワースポットであるカトリックの聖地「ルルドの泉」へのツアーに参加する。そこには大聖堂があり、年間600万人が訪れる一大巡礼地・観光地となっている。
彼女は神父に「なぜよりによって自分が車椅子生活を送らなければならないのか。普通の生活がしたい。」と涙ながらに訴えるが、決して熱心なカトリック信者ではないようだ。ところが、なぜか彼女に奇蹟が起こってしまう! そのシーンは決して神がかり的ではないし、彼女の喜びや不安もリアルに感じられる。
クリスティーヌの介護担当の若い女性マリア(レア・セドゥ)は、最初は奉仕活動に喜びを感じていたが、慣れてくるとスタッフ同士の男女交際に気を取られてしまう。熱心なボランティア・リーダーの中年女性セシル(エリナ・レーヴェンソン)や、クリスティーヌが恋をする男性クノ(ブリュノ・トデスキーニ)が奉仕活動を始めた理由の詳細は語られないが、興味をそそられる。
神父や修道女の中には、奇蹟に懐疑的な者や、奇蹟を求めることに否定的な者もいる。ルルドの泉はローマ教会にも認められている聖地だが、聖職者の信仰と教義、奇蹟への認識にも幅があるようだ。
巡礼者たちは重い病や孤独など、解決策が見つからないような悩みを抱えており、ルルドの泉に最後の希望を託している。だが、彼女に奇蹟が起こったことを知ると素直に喜ぶことができない。「どうすれば奇蹟が起こるのか?」「なぜ自分ではなく彼女なのか?」「その奇蹟はずっと続くのか?」
舞台はルルドだが宗教色は薄く、女性好みのロマンティックな題材なのに、意地悪なくらい冷静な目で、奇蹟をめぐる人々の心の葛藤を描いている。一見地味だが、かえってこのくらいの方が、ヒューマンドラマとしては面白い。
奇蹟を求めるのではなく、今の自分の状況を受け入れ、魂の癒しを求めるべきだというようなことを神父が発言する。奇蹟が起こらない人への慰めの常套句のようにも聞こえるが、深い示唆に富む言葉でもある。
本作は、交渉の末ようやく現地での撮影許可が下り、オールロケを行ったという。ドキュメンタリーのように、洞窟での巡礼の様子をうかがい知ることができる。
果たしてクリスティーヌに起こった奇蹟は本物なのか? 奇蹟が起これば幸せになれるのか? 聖地への旅行気分が味わえて、奇蹟を求める意味について考えさせられるお薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)
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