ビッグ・リトル・ファーム理想の暮らしのつくり方 : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

ビッグ・リトル・ファーム理想の暮らしのつくり方

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原題：THE BIGGEST LITTLE FARM

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2018年製作米　（91 min）

監督：ジョン・チェスター
出演者：
（ジョン・チェスター、モリー・チェスター、他）

あらすじ：アメリカの大都会ロサンゼルスで映画やテレビ番組の制作・監督・カメラマンをしていた夫ジョンと料理家の妻モリーは、殺処分寸前で保護した愛犬トッドの鳴き声がうるさいと言われ、アパートを追い出されてしまう。　郊外へ移り住むことにした夫婦は、200エーカー（東京ドーム17個分）の荒れ果てた農地を農場へと創り上げて行く…。　農業ドキュメンタリー。

トロント国際映画祭観客賞、パームスプリングス国際映画祭観客賞、他多数受賞

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自然を愛する夫婦の8年間の奮闘が映し出されます。　有機農法の一種である環境再生型のバイオダイナミック農法で取り組んだ農場作りは困難の連続ながら、一見失敗と見える出来事も全てが成功のために必要な過程であることが分かります。　“奇跡の農場”は、実はその土地本来のあるべき姿なのかもしれません。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★★
終わりのない仕事、長い通勤時間、人間関係に疲れ果て、のんびりした田舎で家族とゆっくり暮らしたいと願い、Uターン、Iターンする人がいる。田舎暮らしが性に合って一家全員がハッピーになる成功組もいれば、理想と現実の落差に愕然として都会へ逆戻りする失敗組もいるという。努力と覚悟が必要だし、土地柄との相性もあるだろう。

本作の主人公は、映画やテレビ番組の制作・監督・カメラマンをしていた夫ジョンと料理家の妻モリー。アメリカの大都会ロサンゼルスで暮らしていた彼らは、飼い犬の鳴き声がうるさいからとアパートを追い出され、郊外へ移り住むことを決心する。既に都会生活に嫌気が差していたのかもしれない。200エーカー（東京ドーム17個分）の荒れ果てた土地を手に入れ、農場へと創り上げて行くドキュメンタリーで、夫ジョンが製作・監督・脚本・撮影監督を務めている。農業より撮影の方が本来プロだが、8年間365日ずっと撮影していたとは恐れ入る。

アメリカの農業というと、飛行機で農薬散布というような大規模で効率化されたイメージがある。しかし効率より自然との共生を選んだ彼らは、農業の神様のような老人から、有機農法の一種である環境再生型バイオダイナミック農法の手ほどきを受けた。老人は壁にぶつかり夫婦が迷った時に指針を示す良き相談相手だった。この師匠の「数年はかかる」という言葉を真摯に受け止め、成功を信じて諦めずに挑戦し続けたのだ。

ニワトリ、ブタなどの家畜だけでなく、犬や猫といったペット、オオカミやモグラなどの天敵、小鳥、蝶やテントウムシなどの昆虫の姿もあり、プチ動物ドキュメンタリーのようでもある。野菜、果物、穀物などの農作物の他に草木や花も植えられている。動植物の共存を大事にしているので整然とはしておらず、混沌とした美しさがある。農場や庭園というよりは素朴な丘陵地帯。荒地に自然を作り上げたようなものだ。夫婦の“奇跡の農場”は、実はその土地本来のあるべき姿だったのかもしれない。心癒される映像である。

農場が現在の姿になるまでの試練の詳細は、ぜひ劇場でご確認を。弟子にとっては大きな痛手も、師匠から見れば単なる過程のひとつに過ぎない。もはや悟りの境地ともいうべき農業道。やがてはこの夫婦が次の師匠となって、やる気ある後進を育ててゆくのだろう。農業とは無縁の人にも、勇気と希望を与えてくれる。農家へ転身した夫婦の、七転び八起きの奮闘と生きる喜びが映し出される農業ドキュメンタリー。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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