プリシラ : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

プリシラ(2023年製作)

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原題：PRISCILLA

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4月12日より全国公開中

(C)The Apartment S.r.l 2023
配給：ギャガ

2023年製作米・伊　（113 min）

監督：ソフィア・コッポラ　マリー・アントワネット　ロスト・イン・トランスレーション　 The Beguiled/ビガイルド欲望のめざめ　オン・ザ・ロック
出演者：
ケイリー・スピーニー　パシフィック・リムアップライジング　ビリーブ未来への大逆転
ジェイコブ・エロルディ
ダグマーラ・ドミンスク　エイブのキッチンストーリー　モンテ・クリスト　巌窟王　エヴァの告白

アリ・コーエン、ティム・ポスト、オリヴィア・バレット

あらすじ：1959年、アメリカ軍将校の父の転属先・西ドイツで暮らし始めた14歳の少女プリシラは、兵役で赴任中のスーパースター、エルヴィス・プレスリーと出会い恋に落ちるが、彼の帰国後はしばらく会えない日々が続いた。　しかし、カトリックの名門女子高へ転校させ必ず卒業させるというプレスリーの申し出にプリシラの両親も折れ、17歳でアメリカへ単身帰国し彼の大邸宅グレイスランドで暮らすことに…。　実話から生まれたラブストーリー。　≪恋と孤独で着飾っていた≫

ベネチア国際映画祭最優秀女優賞

世の注目を集めることとなったシンデレラガール、プリシラと、世界的大スター、エルヴィス・プレスリーの10年間の愛の物語です。

【エルヴィス・アーロン・プレスリー】（1935～1977）
アメリカのロックミュージシャン、映画俳優。　「世界史上最も売れたソロアーティスト」「キング・オブ・ロックンロール」と称賛されるロックスター。　ヒット曲は「ハートブレイク・ホテル」「ハウンド・ドッグ」「監獄ロック」「ラヴ・ミー・テンダー」等多数。

【プリシラ・プレスリー】（1945～）
実業家、女優。　エルヴィス・プレスリーの元妻。　歌手リサ・マリー・プレスリーは娘。　女優ライリー・キーオは孫娘。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★

本作の原案となっているのは、プリシラ・プレスリーの回想録『私のエルヴィス』で、製作総指揮もプリシラ本人。曲の権利関係のせいか、エルヴィスがヒット曲を歌う場面はほとんどなく、彼のアーティストとしての苦悩や、有名なマネージャー“大佐”ことトム・パーカー、大勢の取り巻き、家族、婚外の異性関係にも少ししか触れられていない。つまり、タイトルロール“プリシラ”から見た、ロックンロールの帝王エルヴィス・プレスリー（1935～1977：アメリカ）と、妻プリシラ・プレスリー（1945～：アメリカ）の10年を描いた物語だ。歴史に名を残した歌手としてのプレスリーや、その後も波乱万丈な私生活を送る存命中のプリシラの伝記としてではなく、普通の少女のシンデレラ物語として観るべきだろう。

14歳の主人公プリシラ（ケイリー・スピーニー）は、米軍将校である継父（アリ・コーエン）の転属先・西ドイツでの暮らしに馴染めずにいた。基地内のパーティーで知り合ったのが、2年間の兵役に就いていた（特別扱いされず一兵卒として務めるのがマネージャーの戦略だったとも言われている）大スターの歌手エルヴィス・プレスリー（ジェイコブ・エロルディ）。母を亡くし落胆していたエルヴィスは24歳。2人はたちまち恋に落ちる。少女がスターに恋をするのは分かるが、どこに居ても女に不自由しなかったはずのエルヴィスが、10歳下の中学生と真剣交際！　下手すれば犯罪だが、いかに彼が紳士的だったかが強調されている。

兵役を終え歌手に復帰したエルヴィスは多忙を極め遠距離恋愛も難しく、プリシラと会うには同居するしかない。プリシラの継父と母（ダグマーラ・ドミンスク）に「結婚を前提とし、カトリックの名門女子高を必ず卒業させる。」と懇願。17歳のプリシラは、エルヴィスのアメリカ・テネシー州の豪邸グレイスランド（現在は観光スポット）で暮らすことになった。ここでも彼は紳士的で、決して手を出さない！　高級ブティックで着せ替え人形のようにプリシラのドレスを選び、黒髪に染めさせ、濃いアイメイクをさせ、少女を自分好みの女に仕立てていくエルヴィス。まるで、亡き母の面影を求めて幼い紫の上（母親の姪）を引き取って育て、やがて妻にした光源氏（源氏物語の主人公）のよう。理想通りの妻を得てもなお、別の女性を必要としたところも似ている。

大スターと結婚したら、一般人でも常に注目の的。一家のプライバシーを守るために、プリシラは同世代の友人と親しくなる機会を持てず、大人ばかりに囲まれ、無理に背伸びして寂しさを感じる毎日だった。プレスリーは優しく愛してくれているが、ツアーや映画撮影で家を空けてばかり。女性との噂も絶えない。なのに、女は働かず常に家に居て欲しいという昔気質。プレスリーだけを信じて従っていれば、グレイスランドでずっと暮らせたかもしれない。しかし、プリシラは自我に目覚めてゆく。これは女の子が夢見るシンデレラストーリーの、その後までが描かれたラブストーリー。まだ王子様を待っている女性にも、あいにく夢破れた女性にも、感じ得るところがあるだろう。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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