≪ゲキ×シネ≫ 蜉蝣峠(かげろうとうげ)


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≪ゲキ×シネ≫ 蜉蝣峠
(C)2010 ヴィレッヂ 劇団☆新感線
DVD \6,477(税抜)2010/4/22・通常版発売:ヴィレッヂ/販売:イーオシバイドットコム
2010年製作 日  (167 min)

出演者:
古田新太  ≪ゲキ×シネ≫ 薔薇とサムライ  ≪ゲキ×シネ≫ 五右衛門ロック  空白  ≪ゲキ×シネ≫ ZIPANG PUNK 五右衛門ロックIII
堤真一  地下鉄に乗って  フライ,ダディ,フライ  ALWAYS 三丁目の夕日  クライマーズ・ハイ
高岡早紀  はじまりの日  リカ 自称28歳の純愛モンスター  モンスター  長い散歩

勝地涼木村了梶原善高田聖子
あらすじ:めっぽう腕は立つが、過去の記憶がない謎の男・闇太郎。 元旅役者の銀之助に誘われ蜉蝣峠を下り、たどり着いた宿場町は、極道者たちの勢力争いで荒廃しきっていた。 その町で闇太郎は自分のことを知る女・お泪(るい)たちと出会う。 闇太郎は25年前の殺人事件の生き証人だと言うのだが…。 アウトローたちの時代活劇。 「劇団☆新感線」2009年公演の舞台収録。

演出:いのうえひでのり 脚本:宮藤官九郎
笑いたい-2010年 ストーリー展開のおもしろさ-2010年 音楽・ダンス-2010年 アクション-2010年 恐怖-2010年 マークをクリック!
闇太郎が忘れていた過去とは? 忌まわしい事件の真相とは? 立ち回り、色事、コントに歌にダンス、笑いから一転サスペンス的展開へ。 お楽しみが盛りだくさんの人気舞台「いのうえ歌舞伎☆壊『蜉蝣峠(かげろうとうげ)』」がスクリーンに登場します。

【≪ゲキ×シネ≫シリーズ】
≪ゲキ×シネ≫ 五右衛門ロック』
≪ゲキ×シネ≫ 蜉蝣峠(かげろうとうげ)』
≪ゲキ×シネ≫ 蛮幽鬼(ばんゆうき)』
≪ゲキ×シネ≫ 薔薇とサムライ』
≪ゲキ×シネ≫ 髑髏城の七人 (どくろじょうのしちにん)』
≪ゲキ×シネ≫ シレンとラギ』
≪ゲキ×シネ≫ ZIPANG PUNK 五右衛門ロックIII』

★劇団オフィシャルサイト:「劇団☆新感線」
★「ゲキ×シネ」オフィシャルサイト:「ゲキ×シネ」
★本作DVDのネット販売取扱先:イーオシバイ
<スタッフ厳選 超お薦め映画作品!>
★★★★
今年30周年を迎える「劇団☆新感線」。座付作家・中島かずきが書き下ろす作品を、いのうえひでのりが演出し、芸達者な座員と華やかなゲストが、毎回歌って踊って演じ、笑わせてくれる。高いお代の分は必ず満足させてくれる、超優良劇団。 大阪芸術大学のメンバーで旗揚げされたこの劇団は、学生ベンチャーから大化けした大企業のよう。もはや小劇場とは呼べない。劇団株でもあればこんなにメジャーになる前に買っておきたかったところである。
 
看板俳優は個性派怪優・古田新太。顔の面積が大きいことは主役として非情に重要だ。どんなに二枚目でも、顔にインパクトがないと、大きな舞台では映えないのである。アップと背景で顔の大きさが変わるテレビや映画とは違う。舞台ではかなり大げさなメイクがちょうどよいのだ。
 
彼は顔が大きくて、ボソッとしゃべるだけで十分面白い。「劇団☆新感線」の舞台では主役オーラがにじみ出ていて、ド派手に登場する時は、拍手で「よっ、○○屋!」と声をかけたくなるほどである(実際にはしないけど)。最初に彼をテレビで観た時は、あまりに地味だったので、その落差に驚いた。その時は舞台とはメイクが違ったから(当り前か)。

生の舞台では、ダンスや歌、発声、滑舌の上手い下手が気の毒なくらいはっきりとわかる。どんなに派手なアクションでも派手すぎることはないくらい、劇場は広い。「腹から声!」と何度もこの作品中で叫ばれるが、本当に汗びっしょりになるほど動き回り、叫ばなければ、観客は退屈してしまうのである。

舞台出身の俳優がテレビに出ると、最初は身振り手振り、話し方が大げさすぎて、ちょっと違和感がある。求められる演技が舞台とは多少異なるということだろう。

舞台劇でもしっとり静かなものもあるが、よほどの華と力量がないと眠気を誘う。私自身は、役者の身体能力を目いっぱい使った面白い舞台をしっかり楽しみたい方である。

前置きが長くなった。つまり、誰でもご承知のことだが、舞台と映画とテレビはちょっとずつ違う。値段も違う。満足度は人それぞれである。「ゲキ×シネ 蜉蝣峠」は舞台をそのまま撮影し映像化したもの。しかし、昔テレビでやっていたのっぺらとした劇場中継などとは比較にならないくらい進化し、臨場感あふれるものとなっている。

ウリは、あの新感線の舞台がお近くの映画館で見られるということ。 新感線のチケットはなかなか手に入らない。地方からわざわざ見に来る熱心なファンもいるが、そんなことをしていたら小遣いはすべてなくなってしまう。「やっぱり生が一番!」(ビールではない)という舞台好きは散財する。確かに生はいいが、映画館でも観られるよというわけで、最近舞台のスクリーン化が増えた。良いことである。

劇場でどんなによい席を確保しても、隅々や役者の表情まで全部捉えることはできない。それが、映画館だとカメラが要所要所でアップにしてくれるのでわかりやすい。急な残業で高いチケットを無駄にする心配もない。オペラグラスもいらない。手軽、気軽、手頃。ただし、あくまでも舞台は舞台で観るのが本筋だということを忘れずに観て欲しい。

今回の脚本は宮藤官九郎。映画より舞台のお方だろうから、今回は非常に期待した。しかし、率直に言わせてもらうと「劇団☆新感線」の舞台として観ると、中島&いのうえコンビの前作「五右衛門ロック」の方がずっと面白かった。

「蜉蝣峠」はキャッチコピーにあるように、「笑いも毒も盛り込んだアウトロー時代劇」だ。ダークな場面も多く、闇太郎の名のごとく、深い闇が広がるストーリー。記憶をなくした闇太郎が宿場町で大立ち回りを繰り広げながら、記憶を取り戻していく物語。

前半は笑いに弾けた舞台。ナニを丸出し(もちろん本物ではない)にした闇太郎こと古田新太が、女好きなのに、ナニを切られてしまった銀之助(勝地涼)と旅に出る。その前に、コケーコッコと被り物で出てくるのが何とあのゲストとは、後にその話が出るまで分からなかった!

結婚式を100回もやるお寸(高田聖子)と立派(橋本じゅん)の夫婦など、芸達者で貫録たっぷり。2人とも顔が大きくてインパクト十分! 銀之助(勝地涼)とサルキジ(木村了)とも若手ながら謙虚に諸先輩方の中で頑張っている。イケメンの彼ら、ちょっと小顔すぎるが…。

そして、お寸の弟、天晴(あっぱれ)こと堤真一の登場。完全なる二枚目役である。流し眼もバッチリ決まり、華のある役者であることを見せつけてくれる。以外にも顔が大きかったか?

ゲストのヒロインはお泪(るい)こと高岡早紀。どうしてもいわくありげな悪女役を期待してしまうのだが、今回は可愛らしく、ちょいと間抜けな女である。しかし闇太郎を「ずっと待っていた!」と言いながら、天晴とも通じているところが期待通りと言えようか。 顔はそうでもないが、ぽってりとした唇にインパクトがあった!

笑いのツボが、舞台だと思いっきり笑えるところが、映像では少々違和感あり。宮藤官九郎のストーリーでたまに感じる違和感と通じるものだ。しかし、今回は舞台のスクリーン上映ということであるから、この点は良いとも悪いとも言えない。舞台でなら、なんら違和感はないはず(多分)。≪ゲキ×シネ≫を舞台と思うか映画と思うかで評価は違ってくるだろう。

おトク感いっぱいで劇場を後に出来る。そして次は是非「劇団☆新感線」を生で観たいと思うだろう。そう思わせれば成功と言える。最近舞台を観たくても観られない私としては、こういうスクリーン版が見られるだけで単純にうれしい。たまには舞台作品を映画館でご覧になってはいかがだろうか。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)
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