ヤクザと家族 The Family : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

ヤクザと家族 The Family

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2020年製作日　（136 min）

監督：藤井道人　青春18×2 君へと続く道公　宇宙でいちばんあかるい屋根　デイアンドナイト DAY AND NIGHT 　余命10年
出演者：
綾野剛　シャニダールの花　日本で一番悪い奴ら　パンク侍、斬られて候　楽園
尾野真千子　茜色に焼かれる　いつまた、君と何日君再来　千夜、一夜　ミュージアム
北村有起哉　長州ファイブ　太陽の蓋　探偵マリコの生涯で一番悲惨な日　すばらしき世界

市原隼人、磯村勇斗、寺島しのぶ、舘ひろし

あらすじ：1999年、19歳の青年・山本賢治は、柴咲組の組長と出会いヤクザの世界へ足を踏み入れる。　…2005年、組で頭角を現すようになった山本はホステスの由香と恋仲になるが、敵対する侠葉会との抗争を引き起こしてしまう。　…2019年、暴対法の影響でヤクザが困窮する一方で、半グレ集団が夜の街を仕切るようになっていた…。　任侠アクション。　＜父も母もいないけど、私には≪家族≫がいました。＞

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暴力団対策法が改正されるたびに、法の隙を突く新たな犯罪グループが生まれています。　「素人には手を出さないのが建前の指定暴力団」と「一般人と見分けがつかない準暴力・犯罪集団」と、どちらが危険なのでしょう？　組を家族と思って生きてきた昔気質のヤクザ山本が、時代の波に押し流されてゆく姿を描きます。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★
1991年に制定された暴力団対策法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)は、反社会的勢力の消滅を目指し改正を重ねてきたが、永遠に続くイタチごっこだとも言われている。近年は罰則が厳しくなって、末端ヤクザは「シノギ＝収入」が減り「上納金＝組に納める金」が払えない上にコロナ禍で大変な状況だという。どんな業界においても、不況のあおりを受けるのは立場の弱い者からの順となる。しかし、表向きは合法ビジネスを営みながら裏社会の資金源となったり、資金洗浄に使われる「フロント企業」などは、抜け目なく新たなビジネスを開始していることだろう。

本作の主人公は、19歳でヤクザの世界に足を踏み入れ、組で頭角を現してゆく山本賢治（綾野剛）。天涯孤独の彼にとっては、包容力のある柴咲組の組長（舘ひろし）が父、ニヒルな兄貴分の中村（北村有起哉）が兄、慕ってくれる後輩（市原隼人、二宮隆太郎）が弟、お節介な食堂の女将（寺島しのぶ）が姉、可愛いその息子（磯村勇斗）が甥っ子、そして時に厳しいことも言ってくれるホステスの恋人・由香（尾野真千子）が妻のような存在だった。

柴咲組は昔の東映映画を彷彿とさせる、昔ながらの暴力団である。任侠道を重んじ、義理人情に篤く、素人に手を出さないのが建前で、一般人を食い物にするドラッグは扱わない。柴咲の全盛期はそれで良かったが、みかじめ料（飲食店等の用心棒代）も法的には徴収できなくなって収入は減る一方。それこそが暴対法の目的だが、ヤクザが締め出される代わりに半グレ集団が夜の街を仕切るようになった。柴咲組高齢者（菅田俊、康すおん）の副業風景は、末路哀れとしか言いようがない。自分たちの時代が終わったことを知った山本は、途方に暮れる。

闇稼業を続けてきた者は、足を洗っても「元反社」と言われ差別される → 更生しても続かない → 再び慣れた仕事（＝犯罪）へ戻るという悪循環。自業自得だし関係ないと思われるかもしれないが、彼らが自暴自棄になれば回り回って一般人が犯罪の被害者となってしまう。排除するより税金を払えるような正業に就いてもらった方が社会全体としては得策となるが、お互いそう簡単に意識を変れられない。

一般人にとっても「家族」は永遠に同じ形ではない。良い時もあれば悪い時もあるし、場所も構成人員も変わっていく。山本は堅気になって自分の家庭を持ち、平穏に暮らすことが出来るのか？　それとも、最後までヤクザであり続けるしかないのか？　組を本当の家族と思って生きてきた昔気質のヤクザが、時代の波に押し流されてゆく姿を描く社会派任侠アクション。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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