隣人 X -疑惑の彼女- : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

隣人 X -疑惑の彼女-

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2023年製作日　（120 min）

監督：熊澤尚人　君に届け　虹の女神　ごっこ　おと・な・り
出演者：
上野樹里　のだめカンタービレ最終楽章後編　亀は意外と速く泳ぐ　のだめカンタービレ最終楽章前編　奈緒子
林遣都　バッテリー　しゃぼん玉　風が強く吹いている　身代わり忠臣蔵公
ファン・ペイチャ

野村周平、川瀬陽太、嶋田久作、原日出子

あらすじ：ある日、日本は故郷を追われた惑星難民Xの受け入れを発表した。　人間の姿をそっくりコピーして日常に紛れ込んだXがどこで暮らしているのか誰も知らず、人々は不安や恐怖を抱いていた。　週刊誌記者の笹は、スクープのため正体を隠してX疑惑のある良子へ近づく。　やがて彼女に恋心を抱くようになるが、良子がXかもしれないという疑いを払拭できずにいた…。　ミステリー・ロマンス。

原作：パリュスあや子『隣人X』

笹は良子が人間なら愛せて、Xなら愛せないのでしょうか。　自分と異なる者への恐怖と共感を描く、ミステリアスなラブストーリーです。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★
マスコミが特ダネを狙うのは当然だが、今やパパラッチやユーチューバーだけでなく一般人がスマートフォンでスクープを取れる時代。それだけにトラブルも多く、公人・私人の区別なく憶測や悪意あるデマ、秘めておきたい事実が流布され、中には人生を潰される人もいる。暴露した側が批判された後で謝罪して、記事を削除すれば済むという話ではない。しかし、報道の自由及び忖度・自粛と、真実を知る権利、そしてプライバシーを守る権利との兼ね合いは難しい。日常的な私たちの判断も、多かれ少なかれ報道に影響されているのだから油断できない。

本作の舞台は、紛争で故郷を追われた“惑星難民X”を（アメリカに続いて）受け入れた日本。Xの本来の姿形は不明だが、彼らは地球人の姿をそっくりコピーし一般人として暮らしているという。ひょっとしたら自分の隣に住んでいるかもしれないXに対して、誰もが不安や恐怖を抱いている。「週刊東都」編集部の駆け出し記者・笹（林遣都）は契約解除を言い渡される瀬戸際で、【惑星難民X】のネタを掴み何とか首を繋ごうとしていた。

編集部では調査会社を通じてX疑惑の人物を何人かピックアップしており、笹は2人の女性に密着することになった。1人は居酒屋とコンビニのバイトを掛け持ちしながら日本語学校へ通っている台湾人留学生リン・イレン＝通称レン（ファン・ペイチャ）で、彼女は居酒屋の同僚・拓真（野村周平）に恋心を抱いている。もう1人はコンビニと宝くじ売り場のバイトを10年も続けている一人暮らしの女性・柏木良子（上野樹里）で、彼女とレンはコンビニの同僚でもあった。

編集長（嶋田久作）に急かされスクープを焦る笹は良子に狙いを定め、偶然を装って近づく。互いに恋心を抱くが、彼女の実家の両親（原日出子、酒向芳）にまで会いに行ったのは一家の正体を確かめるため。良子がXなら一大スクープで笹は名を上げられるが、良子を傷つけてしまう。逆に良子がXでなければ二人の恋は成就するかもしれないが、笹は失業することに。笹は良子が人間なら愛せて、Xなら愛せないのだろうか？　編集長に期限を切られ板挟みになった笹は、直感と“証拠”に従って記事を書く。安定した職業に就いていない者の悲哀が感じられて辛い。

難民Xは、周囲とちょっと違っていたり、ひっそりと生きていたい人々の総称にも思えてくる。良子の家族の描写は特に興味深く、彼女の父親の発言が作品全体の答えのようにも感じられた。Xの存在は気になるものの、笹と良子、レンと拓真の恋は応援したいし、相手が何者であっても愛する気持ちに変わりはない…と、思いたい。自分と異なる者への恐怖と共感を描くミステリアスなラブストーリー。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

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