ハッチング孵化 : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

ハッチング孵化

≪便利な機能≫　　　＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞
2系統の＜作品評価システム＞と、一つの作品と類似性の高い作品群を抽出する独自のシステムです。
ならばこの新作、ならばこの作品、「感動」「笑い」各項目別人気作品、監督・出演者別人気作品などで大活躍！

原題：PAHANHAUTOJA／HATCHING

ぴったり　公開新作　超人気　項目別　トップ

2022年製作フィンランド　（91 min）

監督：ハンナ・ベルイホルム
出演者：
シーリ・ソラリンナ
ソフィア・ヘイッキラ
ヤニ・ヴォラネン

レイノ・ノルディン

あらすじ：北欧フィンランド。　12歳の少女ティンヤは、幸せ動画配信に夢中な母、建築家の優しい父、好奇心旺盛な弟と、素敵な家で暮らしている。　母を喜ばすため、ティンヤは全てを我慢し新体操の練習に明け暮れていた。　ある夜、森で見つけたカラスの卵を持ち帰りベッドで温めると、孵化して生まれた“それ”が、幸福な家族の仮面を剥ぎ取っていく…。　サスペンス・スリラー。　≪家族は知らない、私だけの秘密。≫

ジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭グランプリ

マークをクリック！

幸せいっぱいに見えるティンヤの家族ですが、次第にそれぞれの心の闇が見えてきます。　孵化した“それ”が凶暴化してゆくのは、いったい何のためなのでしょうか？　美しく恐ろしい映像です。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★★
「孟母三遷」という言葉があるが、偉い子の親は偉い。子どもが「目に見える成果」を上げると、その親は「子育て成功者」として称賛される。大谷選手や藤井棋士の親の「子育ての秘訣」を知りたい方は多いだろう。何が「成果」や「成功」なのかは人それぞれだが、子育てに一生懸命な親は素晴らしいし、喜んでいる親が身近にいたら、素直に「頑張ったね！　おめでとう！」と、祝福したい。しかし、いわゆる「良い子」ほど、親の期待や無言の圧力に応えようと頑張ってしまう。それが「良い結果」を生むこともあれば、逆に人生を狂わせることもある…。

本作の主人公は、フィンランドの12歳の少女ティンヤ（シーリ・ソラリンナ）。彼女の母親(ソフィア・ヘイッキラ)は、家族の「幸せ動画」をアップするのが生きがい。父親（ヤニ・ヴォラネン）は成功した建築家だが妻のいいなり。知りたがりの弟も文句を言いつつ母親に従う。ティンヤも遊びたいのを我慢して体操の練習に励んでいる。美しい母親は一家の女神であり、誰も歯向かえない。体操教室でコーチ以上に娘を叱咤激励する母親の目的は、競技大会のネット中継。娘の大会出場も、モデルハウスのようにキレイな家も、自らの美貌も、その全てが幸せ動画ネタ。カメラの前で微笑む仲良し一家４人の表情が、にこやか過ぎて薄気味悪い。何か大変なコトが起こるような気がしてくる。

意外にも母親は「幸せ動画」一筋ではなく、ちゃんと家の外にも目を向けていた。彼女には大工のテロ（レイノ・ノルディン）というイケメンの不倫相手がいて、それを娘ティンヤに嬉しそうに打ち明けるのだ！　気の毒なほど影の薄い父親は、口に出して認めるのが恐ろしいのか何も言わない。皮肉なことに、唯一マトモに見えるのが、間男のテロ。ティンヤの苦しみをいち早く察知するのもテロで、彼だけはティンヤの母親のいいなりにならない。それは彼が「幸せ動画」の呪いに縛られぬ、全くの部外者だからだろうか。

さて、一家の団らん中に飛び込んで来て部屋をメチャクチャにしたカラスが産んだ卵を、ティンヤは自分の部屋に持ち帰り密かに温め孵化させる。“それ”が生まれてからというもの、一家の周囲で凄惨な事件が相次いで発生。登場人物も映像もうっとりするほど美しいのに、不可解な闖入者である“それ”が、幸せ一家の仮面を容赦なく剥ぎ取ってゆく。“それ”はティンヤの敵なのか、味方なのか…？　“それ”の正体については、劇場で判断して頂きたい。グロテスクな場面も多く不気味だが、妙に惹き付けられるサスペンス・ホラー。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞