怨泊 ONPAKU : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

怨泊 ONPAKU

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原題：怨泊／ONPAKU

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7月19日より新宿武蔵野館他全国順次公開中

2023年製作中国（香港）　（99 min）

監督：藤井秀剛
出演者：
ジョシー・ホー　全力スマッシュ　殺人犯
ローレンス・チョウ
高橋和也　Live Spire ANJIN イングリッシュサムライ　白鍵と黒鍵の間に　歩いても歩いても　新聞記者

黒川智花、酒向芳、菅原大吉

あらすじ：香港の不動産関連会社で働くサラは、土地購入のために東京へやって来た。　到着した彼女を迎えた日本側の担当者は、偶然にも長らく音信不通状態だった弟ショーン。　予約したホテルが手違いで泊まれなくなり、ショーンに紹介された古びた民泊の屋敷で就寝しようとしたサラは、真夜中に不気味な光景を目撃する。　翌朝その部屋の床を剥がしてみると、白骨が発見された。　警察の担当者・小山田は、この民泊と失踪事件の関連を調べ始める…。　ホラー。

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怪しげな屋敷から出られなくなってしまったサラ。　異国の地で、外国人旅行者が思ってもみなかった怨念と因縁に絡まれるオカルト・ホラーです。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★
このところの円安で、アジアだけでなく欧米からの観光客も、ものすごく増えている印象を受ける。インバウンド効果を高めるためにも、しっかりおもてなししなくてはならない。楽しい思い出をいっぱい作って頂きたい。ああ、それなのに、最悪の映画が出来てしまったかもしれない？！

本作の主人公は、土地購入目的で来日した、香港の不動産関連会社で働いている女性サラ（ジョシー・ホー）。東京で彼女を迎えた日本側の担当者は、偶然にも実弟のショーン（ローレンス・チョウ）だった。会うのは随分久しぶりで、姉弟関係はかなりギクシャクしている様子。それでも一緒に鮨屋を訪れ、日本慣れした弟は、初来日の姉に得意げに「ワビサビ」の蘊蓄を傾ける。（「ワサビ」と混同してしまいそう。）

手違いでホテルに泊まれなくなり、サラはショーンに案内された民泊を利用せざるを得なくなった。経営者の老婦人・絹代（白川和子）は無表情で、広い屋敷は古くて暗くて薄気味悪い。ラブホテルなら空きがあったのに後の祭り。その夜、サラは寝入りばなに不気味な光景を目にする。夢かとも思ったが翌日その部屋の畳下から、何と白骨が出てきた。警察の担当者・小山田（高橋和也）は、妹で鑑識医の真由美（黒川智花）から、その白骨がかなり危険なものだと聞かされ、独自に調査を進めることにした。

何も知らないサラは、勝手の分からぬ東京で半ば犯罪者扱いされ、危険に晒され、体力を消耗し、不気味な老婆の民泊に足止めされてしまう。弟ショーンはのらりくらりとしていて全く頼りにならない。サラは意味不明な幻覚を何度も見てしまうし、民泊の住人は誰もが怪しげで、いったい何人いるのか見当もつかない。やがて死人が出て、おどろおどろしい怒涛の展開となる…。

藤井秀剛監督は本作によって、日本人ですら正しく理解できていない「ワビサビ」の哲学を、唯一無二の日本の宝として世界に伝えたいとのこと。更に「解りやすい映画が嫌い」だそうで、『本作を観た後、日本人は、どこか恥ずかしく、外国人は、日本に恐怖を覚える…。そう感じた観客がいたら、僕のワビサビ・オカルト・ホラーは成功だったと言えます。』と観客へメッセージを送っている。果たして、どれくらいの人が本作で「ワビサビ」を感じ、理解できるだろうか？

確かに、ストーリーを完全に理解しようとは思わない方がいい。無表情な日本人は不気味だし、外国人にとって英語が通じない国は不安だろう。観光客増加でホテルの宿泊費は高騰しており、人気エリアで急な宿泊先を探すのは至難の業。民泊も人気だが、当たりハズレも大きい。ひょっとしたら宿泊先で強盗やお化けに遭遇するかもしれない！　急病になったらどうしよう！　そんな日本旅行への不安と恐怖を加速させるような要素がいっぱい詰め込まれている。

　
「映画も日本人も解りにくくてコワイ！」「東京になんか行きたくない！」と観客に思わせれば、それが監督の狙い通りなので大成功なのか？　いやいや、逆に恐怖体験目的で、おもてなし感ゼロのボロボロ民泊が大盛況となるかもしれない。日本が妙な誤解を受けないよう、必要以上に外国人観光客に親切にしたくなってしまう“ワビサビ・オカルト・ホラー”。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞