セールスマン:作品を観た感想(14)
『セールスマン』イラン的事故物件
★★★★ 社会の変化に対する思想の分断を象徴する「セールスマンの死」を皮肉として描き出したこの作品で、アメリカが分断の象徴になるとは何たる皮肉。やはりこの監督作品が大好きだわ。とにかく、あざとくなく上手い。
映画@見取り八段
2019年6月23日
映画評「セールスマン」
★★★★ ファルハディはミステリー趣味を有効に使い、人間存在の深奥を興味深く見せることに長けてい、今回もその部分が十分発揮されている。いつもながら巧い。
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
2018年9月20日
セールスマン
★★★ それぞれの事情や感情が理解できる分、どうしてそうなった感が非情に強い。最初は忍耐強く妻を想う夫に見えたエマッドも、作品後半ではそうでもないような気がしてくる。劇中劇であるサラリーマンの死。これが、知らないので本作との関わり合いがよくわからなかった。本当は重要な話であるはずなんだけど。
いやいやえん
2018年3月26日
セールスマン
★★★★ イランって国の現状やお国柄がわからないとなかなか分かりにく映画だったな。この映画って戯曲「セールスマンの死」と今のイランの現状を重ねているだと思うけど、やっぱりわからない人間にとっては難しいな〜って思う。でも、モラルとは何か、法って弱い見方をしてくれているものなのか!って思ってしまう映画だったな〜なかなか奥の深い映画だった。
C’est joli ここちいい...
2017年11月3日
「セールスマン」:人間の謎と複雑さ
イラン社会を想像しながら観るべき部分もないではないですが、全体的にはむしろ普遍的な問題を描く作品となっています。現代を映し出すテーマは、「復讐は互いを傷つけ、何もよい物を生み出さない」ということ。終幕で示される復讐の無意味さは、観る者の深い所にまとわりつきます。それは「目には目を」の社会への訴えかけとなっています。それを示した所に、ファルハディの姿勢を感じ取ることが出来る作品だと思います。
大江戸時夫の東京温度
2017年7月20日
映画『セールスマン』タイトルが『セールスマンの死』でないのがミソかと
“結末”への運び方がスゴイ!女性が、男性に襲われた“事件“の犯人捜しをサスペンスの様相で、引き込みながら襲われた“恨み“の行く先をドラマチックに、そう見せるか!という展開が、とても面白かった!
yutake☆イヴの《映画☆一期一会》
2017年7月11日
セールスマン
★★★★ 感情表現にひきつけられる映画です。みんなの言い分がわかるし、それほど悪い人がいるわけでもないのに、ふとしたきっかけで、日常が変わってきてしまうことを思い知らされました。
Spice -映画・本・美術の日記-
2017年7月9日
セールスマン
★★★★ 本作の特色といえるのは、全体が、戯曲『セールスマンの死』の上演と関連付けながら描き出されている点であり、大層考えられた構成になっています。『彼女が消えた浜辺』でその美しさに圧倒されたタラネ・アリドゥスティの、ほぼ10年後の相変わらずきれいな姿を見ることが出来たのは、願ってもないことでした。
映画的・絵画的・音楽的
2017年6月30日
『セールスマン』 増幅される不安
日本社会にいると気がつかないけど、性的な問題に厳しい戒律のあるイスラム社会では挑戦的な映画づくりだと思う。わかりやすい起承転結でなく、これからエマッド、ラナはどうなるのかと観客も不安させて終わる。
Days of Books, Films
2017年6月26日
セールスマン
静謐で重厚な人間ドラマといったところで、期待を裏切らない作品だった。夫も当初は犯人に償わせるために犯人捜しをはじめるも、何時しか事件の恐怖心を克服できずがゆえに、夫婦関係、仕事、所属する劇団の芝居と、すべてのことに支障をきたすように妻に対する憤り、意固地さへと変っていき、内に怒りを燃やして静かに暴走し始めていく様と、後味の悪さを覚えずにはいられないラストがスリリングさにさらに拍素をかけていて素晴らしかった。
風情の不安多事な冒険 Part.5
2017年6月24日
セールスマン〜過去の妻を襲う?
★★★★ アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」を重ねた米アカデミー外国映画賞受賞作。暴行魔とされるマジッド、実はエマッドの実体ではないかと思えてしまう。「セールスマンの死」のローマンは63歳。そうすると、崩壊したアパートはローマン=マジッドの世界であり、引っ越したアパートはエマッド夫婦のものだ。マジッド=ローマンは過去の自分エマッドの妻ラナを襲いに行ったのだろう。
佐藤秀の徒然幻視録
2017年6月20日
セールスマン・・・・・評価額1700円
★★★★ さすがの面白さだ。主演のシャハブ・ホセイニとタネラ・アリシュステイが素晴らしく、二人の噛み合わない想いがぶつかり合うことで、強烈にキャラクターが立つ。夫婦というミニマルなコミュニティから、分断された世界が見える問題作だ。現実の世界で夫婦が直面する分断が、作中の重要なモチーフとなる劇中劇「セールスマンの死」と重なる仕掛け。もちろん単体で観ても十分に面白いのだけど、これも物語作りの難しいところだ。
ノラネコの呑んで観るシネマ
2017年6月18日
『セールスマン』 もやもや感がクセになる?
作品内で同時進行する演劇『セールスマンの死』では、裸の女性を実際に裸では登場させることができない滑稽さが描かれている。アスガー・ファルハディの作品は謎によって観客の興味を惹きつける。この作品で浮き彫りとなってくるのはイラン社会の矛盾のようなものなのだろうと思う。何とも説明が難しいのだけれど、あれかこれかという葛藤へと登場人物を導く脚本がいつもながらうまいし、やはり見応えがある作品となっていたと思う。
映画批評的妄想覚え書き/日々是口実
2017年6月18日
セールスマン
劇中劇はアーサー・ミラーによる戯曲「セールスマンの死」。劇中劇の登場人物と、映画の中の登場人物がリンクする作りになっているのだそうだ。アーサー・ミラーくらい読まないといけないのだろう。映画観ただけだとよくわからん。エマッドは警察に届けることなく犯人捜しに奔走するが、その過程における彼の変化が見どころ。結末にすすむに連れて彼がだんだんと小人物に見えてくる。いったいそれはなぜか?なんてところに注目して観ると楽しめると思う。
あーうぃ だにぇっと
2017年6月8日
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