夏へのトンネル、さよならの出口:作品を観た感想(2)

『夏へのトンネル、さよならの出口』をユナイテッドシネマ豊洲11で見て、
★★★主人公の彼も、ヒロインの彼女も眉目秀麗で硝子細工のように綺麗である。彼等には普通に生きていく上での障害があり、それが彼等を必要以上に外界から隔てさせているのかもしれない。彼にとっても、彼女にとっても、現実は自分達から幸福のシンボルを取りあげた失楽園=地獄に他ならない。彼は日常的に暴力にさらされ、彼女は生きていく目標を否定される。どちらも、いともたやすく行われ、それが突飛に見えないリアリティーを持つ。だから、怖い。浦島トンネルを利用して、彼等は運命から幸せを奪還しようというのだ。この浦島トンネルのビジュアルが素晴らしい。ある場所から時間の流れが変わるが、そういう事が起きそうな説得力がある。
ふじき78の死屍累々映画日記・第二章
2022年9月17日

ショートレビュー「夏へのトンネル、さよならの出口・・・・・評価額1600円」
★★★ 目の前の「今」を犠牲にしてまで、手に入れる必要のあるものなど、本当にあるのか?と言う渇望と葛藤が、ピュアなラブストーリーと絡み合う。原作で描かれるウラシマトンネルは、見た目はごく普通の廃トンネルらしいが、映画では森の中の岩に開いた三角形の洞窟で、内側には光る葉をつけた紅葉の様な奇妙な並木が果てしなく続いていると言う、幻想的なビジュアルデザインを採用し、傘と向日葵の様な、映像作品ならではの視覚的な象徴性も工夫されている。映像的なクオリティも高く、ジュブナイルファンタジーとして上々の仕上がりだ。
ノラネコの呑んで観るシネマ
2022年9月14日

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