ケンタとジュンとカヨちゃんの国:作品を観た感想(11)

『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』
彼らには想像できない。自分の足元の僅かな半径より外に広がる世界のことを。大森監督は彼ら3人のことを、「時代が生んだ私たちのこども」と称している。時代が生んだ3つの幼い魂だと。彼らと同世代の者ならば、彼らの中に自身と重なる部分を照らし合わせるだろうが、もはやこの世代を終えてしまっている大人の私達には、監督と同じ目線で物語を見つめる姿勢が求められる。若者の心の闇に潜むモンスター。[パレード]でも感じたそれを、本作では痛々しい青春ロードムービーの中でしかと受け取った。
シネマな時間に考察を。
2011年1月28日

ケンタとジュンとカヨちゃんの国
★★★★ こんな映像を沢山見せつけられますと、彼らがやっているのは一種の"革命行動"なのではとも思えてきます。自分たちを締め付けてきそうなものに対して、暴力を持って立ち向かい、それを破壊してしまおうとするのですから。そこには何の理論的な裏付けもないのです。単にめちゃくちゃに破壊しているだけです。その先に何があるのか考えるのは、観客に任されているのでしょう。格差社会で蠢く若者たちが今何を考えているのか、その一端を垣間見せてくれるかもしれない作品に仕上がっているのではと思いました。
映画的・絵画的・音楽的
2010年8月1日

映画「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」
★★★ 何かを伝えるのかと見守ると、それまで積み重ねた全てを投げ出すような捕え所のない作品だった。「ここではない、何処かへ」その想いが募ってがんじがらめの日常から抜け出した3人は別の何処かを探しつつも、何処へもたどり着かないようだ。これって今の世相を反映しているのか。どこかで明確な何かや明るい希望を見たかったのに、その周辺を漂いながら決してたどり着かない、そんな映画だった。高良健吾、よく見かける俳優だ。ほぼ主役級なのに、存在感は希薄ででもそこに居るだけで、セリフで語るより多くのことを伝えてる気がする。
soramove
2010年6月27日

ケンタとジュンとカヨちゃんの国
安藤さくらという女優。ぜんぜん魅力的ではないんですけど、たぶんそれが「演じる」ということなんだと思います。映画の中で、バカでブスを、上手に演じているように感じます。そういうの好きだけど。ロードムービー(?)なので、旅の途中でいろんなことが起こります。そして、旅の終わりにあるものは、行き着いたものにしか見えない国が。カヨちゃんの国??臭そう…。新井浩文はほんとにやなヤツだ。だから好きだ。
幕張コーポ前
2010年6月26日

ケンタとジュンとカヨちゃんの国
松田翔太は今回は頭の良くないキャラを演じている。物語の途中のホテルでアダルトビデオを見るシーンが有り、男の自分が見てもショックの面が大きかった。最近のロードムービーってこんなのばっかりなの?という部分。車、バイクは盗むは、カヨちゃんの財布は盗むは…。網走にある刑務所に行くのが最終目的だったのかな? なん[ヘブンズ・ドア]とかぶっている部分があり、あまりいい気分ではなかった。
単館系
2010年6月22日

ケンタとジュンとカヨちゃんの国
★★★ ケンタもジュンも社会の底辺で生きる若者。彼らには金も学歴も目標もない。絶望でがんじがらめで身動きできない二人は愛憎半ばの関係を保ちながら支えあっている。いつも誰かをバカと言い、「お前とは違う」「違うって言うな」と叫ぶ彼らの存在証明はすべてをぶっ壊すことしかないのだ。共に旅をすることになるカヨちゃんもまた、男と寝ることでしか自分の存在を確かめられない女の子。このカヨちゃんを、母性の象徴のように描くのが興味深い。全編寒々とした映像が続くが、旅の終わりに一人前を向くカヨちゃんを演じる安藤サクラの表情が絶品だ。
映画通信シネマッシモ☆渡まち子
2010年6月15日

ケンタとジュンとカヨちゃんの国
★★★★ 描かれているのも憎悪と破壊。ゆみかが滔々と語る絵に描いたようなありきたりな夢の人生設計と、全く人生設計など持ち合わせていないカヨちゃんの対比がたまらない。タイトルにある「国」とは自分たちを阻む「壁」の向こうにある自分たちの知らない未知の国。しかし、一番の悲哀は誰も具体的にその国を想像すらできないこと。実はケンタもジュンもカヨちゃんも、若年性認知症のようなところがあって、カヨちゃんは2人に金品奪われても追いかけて来るし、2人は自分たちがカヨちゃんに何をしたかさえ忘れてしまっているような風情。出発点から壊れている。
佐藤秀の徒然幻視録
2010年6月15日

ケンタとジュンとカヨちゃんの国
★★★ 現代の若者の抱える悩みや苛立ちといった部分に、どれだけの共感を得られるのかが問題です。若者が社会という漠然としたものに対して不満を抱き、わが身の境遇に納得がいかないのは今も昔も同じ。ただ、それが破壊衝動に向かってしまうというのが何か60年代風な感じがしました。暴発し壊し壊されした結果、彼らには結局何も残っていません。ただ、現実には彼らのような行き場の無い、イライラや怒りを抱えた若者が増えているというのは感覚として解っています。そこに社会としてどういう手が差し伸べられるか。そういった意味での問題提起を感じた。
LOVE Cinemas 調布
2010年6月9日

『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(2009)/日本
★★★★ どうにも救いようがない話だなあという印象なんですが、彼らは彼らなりの論理を通したんでしょうか。使えない世の中、どうにもならない俺ら。自分たちの「国」の中でルールを作っていく3人が痛々しかった。今の社会状況に対して徹底的にプアなサイドから見つめた時にどうなるのかということも考えさせられる。ケンタとジュンには親という後ろ盾がなかった訳だから…。「持たざる側の論理」をここまで抉った作品というのもあまりないように思う。救いようがない結末、見るのも辛い状況にしたことで、監督の気持ちもつかめて来るような気がする。
NiceOne!!
2010年5月29日

「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」すべて、ぶっ壊す。
どうしようもなく破壊的で、行く末に希望が見えない救いのない物語。観ていて非常にシンドイ映画でした。ただ、この映画の主人公達が抱えているどうしようもない、持って行きどころのない、体の奥から湧きあがってくる"やるせなさ"や"憤り"、と言った物には痛いほど共感させられました。人と言う生き物が持つ、云わば"生存本能"とも言うべきモノに目覚め、その先にわずかながらの光を見出し、生きていこうとした2人の思いがストレートにスクリーン越しに伝わってきました。殺伐とした世の中に、風穴を開けるくらいのエネルギーを感じさせてくれる1本。
シネマ親父の“日々是妄言”
2010年5月20日

ケンタとジュンとカヨちゃんの国
最初から最後まで、めちゃくちゃ衝撃的でした!怒りに任せて飛び出したケンタ。ジュンはケンタの希望に自分の希望を重ねながら旅を続け、ジュンと一緒にいたくて追いかけてきたカヨちゃん。彼らの信じた旅は希望の方向には続いていませんでした。主演の3人はもちろんのこと、兄役の宮崎将さんやケンタをいじめ続ける役の新井浩文さんなど出てくる役者さんみんなが本当に強烈な演技を見せていました。特に宮崎将さんの演じた兄ちゃんは翌日に夢でうなされたほど怖かったです。あまりの痛みにすぐには言葉がでなかった1本です。
とりあえず、コメントです
2010年3月30日


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