路上のソリスト:作品を観た感想(23)
路上のソリスト
娯楽性が低いけれども、とても深い部分で感じさせる物語を説得力ある演技で見せる。悪気はないけど、「もぅちょっと考えて行動しましょう」と宥めたくなる記者の、それに気づけない傲慢さが鼻についてしまうほど、ロバート・ダウニー・Jrが巧い。ジェイミー・フォックスがまた、独特の世界にいる男に心底自分を投影しているかのようなハマり方。2人の演技を見るだけでも充分の価値があると思う。決して「泣ける」感動作ではないし、音楽を楽しめるものでもない。でも、そこに何が描かれていたかを感じ取れたなら、静かな良い作品を観れたと感じる。
悠雅的生活
2010年5月4日
「路上のソリスト」にあって「沈まぬ太陽」にないものとは?
主人公の記者ロペスは非常に真摯で誠実な人物だと思う。ナサニエルに対する行動についても記者としての取材対象以上のものを感じたし、そこにはいい記事になりそうだという野心を超えたものがあったと思う。この映画の良さはロペスを何事にもまじめで誠実な正義の新聞記者としてのみ描くのではなく、仕事をする者が持つ、野心や小市民的なずるがしこさなども併せて自然に描いている点。それは決して露悪的ではなく、非常に説得力のある描き方だと思う。[沈まぬ太陽]に欠けている点は、まさにその部分である。
映画と出会う・世界が変わる
2009年11月24日
路上のソリスト アメリカのおせっかいな外交政策への批判か?
音楽が重要なモチーフであるが、華々しい音楽的な成功が描かれるわけでもなく、いわゆる感動的なラストシーンがあるわけでもないが、都会を描くにも全体的にモダンアート的感覚があり、非常に魅力的な装いである。支援とか、援助とかいう言葉を我々は簡単に言うが、それが一方的な価値観の押し付けになっている場合があるのではないか。自分の価値観と成功体験の押し付けになっていないか。この映画を裏目読みすると、アメリカのおせっかいな外交政策への批判ではないかと思う。
映画と出会う・世界が変わる
2009年11月22日
「路上のソリスト」(THE SOLOIST)
★★★★ ロペスはナサニエルが施設に入るための書類を用意し、サインすることを指示。ナサニエルはこれに激怒しロペスに暴行を加える。ロペスは連載コラムにより市長を動かし、路上生活者の対策費を増額させることに成功。しかし、個人の問題には新聞記者としての限界、無力感を覚えた。結局、ナサニエルが統合失調症であるか否かにかかわらず、彼は音楽という分野で非凡な才能を有した孤高の人。日常的な感覚で彼をくくるのではなく、彼のもつ芸術の力を存分に発揮できるライフ・スタイルを考えてあげることが大事だと思った。
シネマ・ワンダーランド
2009年11月11日
ソロからデュオへ 「路上のソリスト」
ジャーナリスティックな視点、 世を憂う社会性は高いと言えるかもしれない。 結局ジャーナリストは、 路上の天使の信頼を失ってしまう。 そして自分自身をも救えなかったことに気づいて初めて、 彼はナサニエルとただの友だちになれる。演出は工夫が施されているが、 裏目に出てしまった感が全体に散漫な印象を受ける。それを役者の好演が補って何とかなった気のする惜しい作品。過剰な期待をせずに見ると、少なからず何かの残る映画かもしれない。
シネマ走り書き
2009年9月23日
路上のソリスト
男同士の友情を築いていく、2人のかみ合わない会話の中でナサニエルがロペスをだんだん信用していく様子や失望していく様子、そしてロペスが何としてでも彼の力になりたいと必死になっている様子は本当に心打たれました。ジェイミー・フォックス、今回はヴァイオリンを弾いたりチェロを弾いたりなかなか素敵でした。難しい役どころかなとも思いましたが、さすがの演技。ロバート・ダウニー・Jr、必死に街中を掛けっている姿が素敵でした。特にメアリーの傍で涙を流してるシーンがとっても良かったです。
Diarydiary!
2009年9月7日
「路上のソリスト」本当に大切なこと
ロバート・ダウニーJr。今回も、優秀なコラムニストでありながら、どこか自分の人生に物足りなさを感じているという役どころを見事に演じている。ナサニエルが本当に求める「友情・親愛」をお互いに感じたとき、本当の「愛」が生まれた。その「愛」こそ人間が本当に必要としている「愛」なんじゃないかなぁー。ジェイミー・フォックスもすばらしい!! 今まで観て来た映画の俳優さんと同一人物だとは思えないほど。これぞ役者!そんな二人を見るだけでも、損はない。
ノルウェー暮らし・イン・London
2009年8月26日
「路上のソリスト」コンクリートの街に豊かな音楽が流れる
★★★ 自動車が激しく行きかい、コンクリートの塊の道路が交差する街で、ボロをまとった男の手にした楽器から無垢な音楽が生まれてあたりを別の空間に変えていく。素晴らしいシーンだ。事実の映画化なので、大袈裟な感動を押し付けるものでなく、ほろ苦い結末でもあるが、良い役者と巧みな脚本で良質な映画を見たと実感できる時間を過ごせた。
soramove
2009年6月21日
【映画】路上のソリスト…アライグマと尿は何を象徴してんですか?
★★★ こいつは感動のドラマってな作品では無いようですね。…いや、無感動に終わるなんて事も無いんですけど。まぁ、見慣れぬ社会派作品の観方がイマイチ分からなかったというのが正直な感想です。ロサンゼルス・タイムズのリストラはどうなったのか? 子供と地震の話の意味は? 等々、特にロペスサイドで不明点が多いような気が…!? 統合失調症の人物の方が、新聞記者よりも分かりやすいってのは何でですかねぇ!?
ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画
2009年6月10日
【路上のソリスト】
静かに沁みる映画でした。泣けるとか感動とかはではなく流れる音楽に合わせてストーリーも静かに展開していった感じ。ロペスのしたことは自分のエゴだったのかもしれない。相手が何を望んでいるか・・ということよりも自分がこうあるべきだという状況にしてあげたかった。でも、たった一人の力で全ての人を助けることができないなら、全ての人を助けないってことじゃないから、自分が知り合った人を助けたいと思うことは自然だと思う。それが偽善だと言われても…。
日々のつぶやき
2009年6月10日
路上のソリスト
★★★★ ナサニエルが途中で激高します。そんなこと気にしなくてもと思うところですが、ロペスはそこまで気を配らなければならなかったのです。それは記者としても大切な姿勢です。良心の油断を突いた、鋭い作品だと思いました。
玄米遊女夢映画
2009年6月9日
☆路上のソリスト(2009)☆
★★★★ 広い大都会で偶然に出会い、お互いに少しずつ深く関わって行きます…。住む世界も考え方も違う二人は、わかりあえるこができるのか?人と関わることの難しさや何が相手にとって、自分にとって大切なことなのかを考えさせられたような気がします。そして、自分が相手のためだと思う行為が、その人にとって必ず幸せをもたらすわけではないと言うことも、それは驕りとも言えるおではないかとも感じました。
CinemaCollection
2009年6月8日
路上のソリスト
二人ともさまざまな役に挑戦して努力して着実に実力をつけてきただけに、非常に重みのある深い映画だった。とはいえ内容的には良かったのか悪かったのか、前進したのか何も変わっていないのかはっきりしなかったような状態で終わった。天才的なチェリストであっても、オーケストラでハーモニーを奏でられないと、結局は仕事やお金にはつながらず、天才の価値も薄れてしまう。そう考えると悲しい物語であった。
映画君の毎日
2009年6月7日
友情なのか偽善なのか・・・。『路上のソリスト』
★★★ 友情なのか偽善なのか…考えてしまう部分もありました。ナサニエルの抱える精神的な病の事を知らずとも、彼がどう思うのか、彼の立場に立って考える気持ちはロペスの念頭にあったのか疑問が残りました。勿論、ロペスがナサニエルを救いたいと思う気持ちは分かりますが、彼の気持ちの上で自分の常識を押し付けているだけのようでとても中途半端に思えてしまった。最後は何とか上手くまとめていましたが、かなり急速で強引です。
水曜日のシネマ日記
2009年6月6日
『路上のソリスト』 (2009)/アメリカ
★★★ 実際に交流を持ち始めてみると、こちらがいいと思ったことがあちらにもそう感じるとは限らない場面が出てくる。それは綺麗事じゃなくて心がぶつかり合ったり、反発を伴うことも多い。コラムが進むにつれ、読者も何かを期待し、そして書き手側も結末を期待し…という部分もあったのではないだろうか。こうすればいい、という勝手な思い込みをして物事を進めると、施される側は"上から目線"ととらえてしまう。よくあるあざとさなのかもしれないけど。
NiceOne!!
2009年6月6日
*路上のソリスト*
ものすごく感動!!人間と人間の友情やその距離感ってつくづくむずかしいですね。でも結局はロペスにとってもナサニエルが必要だったし、人間の格的には同等なのでわかりあえることになるのですが、[再会の街で]に通じるようなものがありました。人間って自分や社会の価値観を人におしつけてしまいがちですが、それが果たして相手にとっていいことなのか?はわかりませんね。描かれている人間ドラマの深さは、さすが!!
Cartouche
2009年6月4日
「路上のソリスト」
イギリス人監督が描く、LAの光と影…。主演の二人の俳優の実力もリアルさの要因です。コラムの題材として取り上げるということは、ある種、ナサニエルを利用していることでもあり、どこまでコミットするべきか…というロペスの葛藤も物語のポイントでした。素材の良さ、バランスのとれた俳優陣、素晴らしい音楽…丁寧に作られた、良質なヒューマンドラマを堪能しました。
ハピネス道
2009年6月4日
路上のソリスト
2人の関係の進化とそれによるそれぞれの成長。救うとか与えられるとかといった関係を超えたところに生まれる関係。ただ、全体としては、やや焦点がぼけてしまったような感じがします。2人の関係性の部分、そしてナサニエルの精神疾患という面と音楽家としての部分が、中途半端に描かれていたような気がして、散漫な印象が拭えませんでした。悪くはないと思います。今一歩感はあるものの、それなりに楽しめました。
日っ歩〜美味しいもの・映画・子育て
2009年6月3日
「路上のソリスト」
面白い話だが、正直どうも好きになれなかった。それはおそらくスティーヴとナサニエルの関係にあったように思える。スティーヴの好意はあくまで取材対象としてのものであり、ナサニエルの音楽的な才能は認めているものの、人間としては終始見下している感が否めない。共に何かを成し遂げたり笑い合ったりするエピソードに欠け、友情が芽生える瞬間が描かれないので、観ているこちらに訴えかけてくるものが弱く感じられた。
古今東西座
2009年6月3日
路上のソリスト
心の琴線に触れるようなシーンはありませんでした。何故…?感じたのはナサニエルの奏でるチェロの音が、到底天才とは思えなかったということぐらいでしょうか。あの演奏では心に響かなかったですね。うっとりと聞き入っているロペスを観るとどうにも違和感を禁じ得ませんでした。フォローというか、救いがないままに終わってしまった物語は何とも後味の悪さだけを残した作品となってしまっています。
LOVE cinemas 調布
2009年6月2日
路上のソリスト
ちょっと眠い映画でした。もっと音楽を演奏するシーンとかがいっぱいあったり、ホームレスが音楽の才能で昇りつめていく映画かと思ってたんで。精神疾患を抱えたナサニエルを救おうとロペスの価値観だけで、彼を振り回し、結果、彼を傷つけてしまう。そしてロペスがナサニエルの価値観を尊重することで二人の新たな関係が結ばれるんですが、その辺の描き方がちょっと中途半端だったような気がしました。
だらだら無気力ブログ
2009年6月1日
「路上のソリスト」
★★★ 順調に育まれてきたかのように見えたふたりの友情は、ある出来事をきっかけに、砂上の楼閣よろしく瓦解寸前となる。この映画は、そこに一筋縄ではいかない人間関係の本質を映し出す。単純に音楽ありきの映画ではなく、許容と拒絶の狭間でゆれ動く友情や、人生における幸せの意味を真摯に描いたヒューマンドラマだ。たとえば、ナサニエルの手に握られるのが、バイオリンやチェロの「弓」ではなくても、この作品の神髄が揺らぐことはなかっただろう。
フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE
2009年5月31日
路上のソリスト/ The Soloist
★★★ ロバート・ダウニーJr×ジェイミー・フォックス、演技派二人の共演が見どころ!二人のやりとりが終始軸になっていて出てくる人物も少なめ、二人のコミュニケーションに全てかかってる。ナサニエルがパニックし一方的に激怒、二人の友情に亀裂が入るシーンは、かなりの迫力でさすが!それに対してロバートさんもダテじゃない、世界が違う二人のハーモニ―、コンビネーションが素晴らしかった★
我想一個人映画美的女人blog
2009年4月25日
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