副王家の一族:作品を観た感想(8)
副王家の一族
ジョヴァンニーノの最期の言葉にコンサルヴォは権力無き自分は無力であることに気づいたのでしょうか。結果、選ぶべきは権力か、自由か、愛か…。結局は父親と同じ道をいくことになるコンサルヴォ。なかなか難しい作品でしたが、こういった絢爛な歴史作品は大好き。2時間ほどの作品ですが、4時間くらいみていたような気がする。ベネディクト派が行うはずのお祈りを、貧しいカプチン派が金の変わりに祈っていたというのはビックリ。コンサルヴォを演じた方はイタリアで「いちばん美しい男」なんだそうです。たしかに格好よかった〜。
いやいやえん
2010年11月19日
副王家の一族 「山猫」より「ゴッド・ファーザー」に近い
この映画が[山猫]と比較して見られるのは当然としても、私はむしろ[ゴッド・ファーザー]に近いと思った。強大な権力を持った父親に最も反発してきた長男が、やがてはその父親と同様の道を歩むという点では非常によく似ている。[山猫]が変化する時代の中での貴族社会に生きる人間がどのように対応していくのかを描いたのに対して、本作では、あくまで一族のドラマであり、「権力の移行」がテーマのようだ。あの長男のその後を描いた続編を見たい。
映画と出会う・世界が変わる
2010年3月17日
副王家の一族 これは、外の変化に気づかない現代日本を...
1860年代のイタリアが統一に向けて変貌しつつある時代のある貴族の物語。この作品の人々は、その世界の変貌を感知することなく、自らの一族の権力と因習をいかに守るのかという点に執着する。彼らの行動の基本にあるのは時代の変化に対して、己たちを守るという執着心ではなく、外の変化に気がついていない、気がついても知らないふりをしているだけではないかと思わせる。この作品を見ながら、このドラマは現在の日本を描いているのではないかと思わせるものがある。
映画と出会う・世界が変わる
2010年3月15日
『副王家の一族』 (2009)
確かにしっかりと堅実に創られている作品です。けれど、ないものねだりを私はきっと、この作品を観ている間中、していたんだと思います。今、映画化する意味は、ただ一つヴィスコンティの視点ではない監督の手による、19世紀のシチリア貴族の物語なのです。監督ロベルト・ファエンツァによって、イタリアの片田舎シチリアの貴族でさえも、自らの一族を栄えさえ、守るために、当然のこととして行ってきた、普通のことを、ただ真摯に描いた、力作だと思います。
よーじっくのここちいい空間
2010年1月4日
副王家の一族
本作は、社会に翻弄される一族、社会の縮図としての一族、というふうにファミリーという比較的小さな規模に焦点を当て恋愛などを絡めて人間関係を見せていくもの。社会の動きは物語に大きな影響を与えているがそれ自体しっかり把握できなくても、一族の物語を楽しめる。お父さんの気持ち、分からんでもない。一族を統率し権力を保つことが、皆のため。子は思い通りになってくれず、反旗を翻す。そりゃあストレスも溜まるわ、怒りも募るわな。最大の見所として推したい部分。それは、貴族の暮らしぶり。まーゴージャスなこと。
h
2009年12月10日
副王家の一族
★★★ 暴虐で昔ながらの家長・ジャコモと、それに反抗する長男コンサルヴォの対立がベースに話は進みますが、単純に暴虐な父に対する反抗心というだけでなく、時代背景的が彼を後押ししていました。ジャコモ役のランド・ブッツァンカ、彼の狂気を帯びた表情や有無を言わせぬ厳格さを醸し出す演技には感服するのみ。威厳のある貴族が、次第に尼僧を教祖のように崇め、心が徐々に壊れていく様子は一見の価値ありです。由緒ある家柄に生まれついた人間、それも長男の必然とも言える運命を綴った見応えある作品です。
LOVE Cinemas 調布
2009年11月19日
副王家の一族
それにしても、この当主はすごいです。息子を悪の権化かのように憎み、娘は権力を拡大する道具としか思わず、病床の妻を顧みずに浮気をし、妻の死の直後に再婚する男です。財産を持たない者はたとえ血が繋がっていても蔑視の対象。そして自分以外の全ての人間を自分の思うように縛り続けました。当時、権力を守るためには当たり前のことだったのかも知れませんけど、現代の視線で見ると本当に生きるのが辛い世界でしたね。父に抗いながら人生を歩んできたコンサルヴォの暗い瞳と、それでもしぶとく生き残った姿が心に焼きついた1本です。
とりあえず、コメントです
2009年11月11日
*副王家の一族*
この作品は貴族文化を少し揶揄してるようなところがあります。といって批判してるのではなくて、ちょっとユーモラスに古い体質を描きながらも終始、次の時代への展開を野望も描かれている。ただ衰退する文化や旧体制を眺めてるのではなく、そこに飛び込んだ人のことでもあるので現代に通じてますから、とっても面白かったです。父と子、特に息子との確執。男同士って深く、むずかしいものがあるようです。特に上流階級の人たちというのは何よりも"家を守るため"だけに人生を歩むくらいのものがありますから、それも深刻になります。
Cartouche
2009年11月9日
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