ベルサイユの子:作品を観た感想(10)

ベルサイユの子
何とも悲しいストーリーです。実の親子ではないけれど、一緒に暮らすうちに信頼や親子のような愛情が彼らに芽生えてくる…。そこに本物の愛はあるんだろうか? 職を失いホームレスとなって生活する人々の、物理的な貧困だけではなく精神的な貧困…。生まれながらのホームレスとなった少年"エンゾ"。大人のエゴと思惑の中で翻弄されていく無垢な心は見ていて痛々しい。どこにも解決策はなく、問題提起もされていない。ただ華やかな観光地の片隅を切り取った映像…限りなく哀しくてやるせない気分になってしまいます。"エンゾ"が望んだのは、つないだ手の温もりだけだったのに…。
ひばなのシネマの天地
2010年12月10日

mini review 10428「ベルサイユの子」
★★★ あんなに人間嫌いのペシミストであったダミアンが、エンゾと戯れながら、「いつか、ママに、冒険したって話してやれ!」と励ます。エンゾは手離したが、ケアの技術を身につけ「自立」したニーナは、少年になったエンゾについに再会する事になる。エンゾは不安で寂しい幼年期を過ごしたかもしれない。けれど、もしかしたら、ニーナやダミアンのそれよりも、強烈な愛に触れていたかもしれない。大丈夫、そんな愛を記憶にとどめる子は、ちゃんと育っていくよ。僕たちは、そんな声を、そっとエンゾにかけてあげたくもなる。
サーカスな日々
2010年1月7日

バラを星だと思い・・ 「ベルサイユの子」
ホームレスが子育て…ということで公開時はショッキングな、 あるいはタイムリーな映画としてそれなりに興味をそそられたが、 いざ見てみると、どうってことない映画。結局は子役の可愛さが売りの映画で、 雰囲気だけシリアスぶっても本当のシリアスさはゴソッと抜け落ちている。そもそも彼らがどうしてベルサイユの森で暮らすことになったかなどの経緯はまったく出て来ず、 時が経てば何となく問題は解決できたような気になって終わり。 だったら最初から悩むなよ。 良くも悪くも今のフランス映画だ。
シネマ走り書き
2009年11月27日

「ベルサイユの子 」気ままに生きるのも結構ツライものです
★★★ 森で気ままな暮らしを送る青年、そこに偶然現れた少年と暮らすことになる。自然林はわずかな光しか地面まで届かない、だから影がすごく強調され、ふたりの短い会話の中に語られない心の交流が見える気がした。ベルサイユ宮殿へ行ったことがあるが、美しい庭に続く深い森でホームレスが暮らしている、そんなこと想像も出来なかった。目で見えているものの裏側には想像もできないことがあるのか、そんなことを考えた映画だった。
soramove
2009年8月7日

ベルサイユの子
エンゾ役の子がとても愛らしくて。ダミアン以外の人でもエンゾのあのつぶらな瞳を見てしまったら、見捨てることなんてできないはず。ダミアンが徐々にエンゾに情を持ち出して、彼のために正業に就こうとする姿に深い感動を覚えた。エンゾがベルサイユ宮殿の衛兵の手を取るシーン、病院のダミアンを外でずっと待ってるシーン、ダミアンが出て行こうとする際、靴ひもを直しているさいにダミアンは消えたシーン。どれもエンゾの表情や姿がいじらしくて心打たれました。
だらだら無気力ブログ
2009年5月31日

ベルサイユの子
母親からの突然の手紙に、緊張のためか怒りのためか、肩で息をするエンゾはもうただ大人の都合に従順な幼い子どもではない。だが、母親の選択をエンゾは受け容れる。彼は、自分のもとを離れていったダミアンのことも、勇気を教えてくれた人だと認めている。これからきっと、昔ダミアンにいわれたように、彼との「冒険」の日々を母に話すのだろう。ホームレス同士の会話が静かで、哲学的なのも印象的だった。
シネマ大好き
2009年5月24日

フランス映画祭2009...「ヴェルサイユの子」
ギョームはもちろん!7歳のエンゾ役マックスが素晴らしい!病気になったダミアンに促され、ヴェルサイユの衛兵に助けを求め、ダミアンの入院する病院前でひたすら待つエンゾが健気で愛しくなる。エンゾを育てようと決心したダミアンが父親の家を訪ね、やがて父親と息子との確執も幼いエンゾによって緩和されて行く姿にジーンと来る。エンディングは語れないが、ダミアンはあの後どうしたのだろう? フランスが誇る世界遺産ヴェルサイユの森に多くのホームレスが棲んでいる事実に驚く。
ヨーロッパ映画を観よう!
2009年5月19日

*ベルサイユの子*
ダミアンとエンゾの表情からふたりの関係が変化していくのが読み取れるのですが、孤独なふたりがそっと寄り添っていくところが最高です。この映画は基本的に説明が少なくて、ラストもすっきりと結論が出ていませんが、現代フランスの抱える問題点や人々の生き方を客観的に描いていて見ごたえありました。この映画は主演のギョーム・ドパルデューなくして成り立たない作品なのですが、これは遺作です。残念でなりません。。。
Cartouche
2009年5月16日

【フランス映画祭2009】 『ベルサイユの子』(2008)/フランス
★★★ ダミアンは血のつながりがないエンゾと行動を共にし、次第にエンゾに対しての保護者的な責任感も生まれてきてしまう。だけどその感情はまた、ダミアンにとって足かせともなってしまう。根は善人なだけに見捨てることはできなかったのだろう。頼るものができて、信じると消えていく。そんな人生を送っていたら人間ってどうなるのだろうか。根底にあるべき安定が揺らいだ幼少期を送る影響は大きいと思うけど。
NiceOne!!
2009年5月10日

ベルサイユの子
★★★ 子供は親を観ています。親が幸せでなければ、子供はそれを敏感に感じ取ります。無理をして街に戻り働いているダミアンの様子、実家の父親と上手く行っていないダミアン、それらはエンゾの幼い目は見抜いていたはずです。そしてそんなエンゾの気持ちはダミアンにも解ります。2度までも頼るべき親を失ったエンゾの気持ちはどうなんだと思わずにいられません。ギョーム・ドパルデューの冥福をお祈りします。
LOVE Cinemas 調布
2009年5月6日


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