再会の食卓:作品を観た感想(8)
mini review 11544「再会の食卓」
★★★★ いつの時代にも、多くの庶民が、歴史の苛酷に巻き込まれることになる。どんな小さい家族も、多かれ少なかれそのことを免れることは出来ない。林立する高層ビル、工事現場の騒音、しかし裏道では路上に洗濯物が無秩序に干されている。家族はここ上海でもだんだん核家族化している。テーブル一杯に拡げられた料理。約束していた家族は来ない。それでも老主人は言う。「さあ、食べよう、残さず食べるのだ」 これは、上海のとても小さい家族のひとつのお話。しかし、本当は日本に住むこの僕たちにも「再会の食卓」は何度も用意されていたかもしれない。
サーカスな日々
2011年10月30日
再会の食卓
40年愛のなかった生活をしてきたという事実、たった1年一緒に過ごした元夫を愛しているという気持ち、自分の残りの人生を自由に生きてみたい。この3人の間に通う心は正直摩訶不思議だ。食卓の風景が良く出てきますが、一緒に食べるというのは心も繋がるという事なんだね。彼ら3人の気持ちがここで1つになったように見えました。だからこそラストの決断には納得の出来るものでした。何度か出てくる家族総出の食事風景とラストのマンションでの子供達が寄り付かなくなった孤独な食事風景とが正反対で、そこが現代人の問題を表しているのかなとも思いました。
いやいやえん
2011年10月1日
再会の食卓
あなたには「感謝」しているけれど、イェンションのことは「愛して」いる、とユィアーに告げられたシャンミンの心は、対面などかなぐりすてた本音の部分でしくしくと痛む。なるほど評価される脚本の映画だ、と納得するわけですが、どうしても気になることがありました。それは、時代考証に対するものすごい甘さです。結局、この映画で一番面白かったのは、言語のミックスであろうかと思います。全編ほぼ上海語で、イェンションだけが北京語で喋るも、両者それで通じあえてしまっているという、この独特のコミュニケーション形態が、すごく面白く感じられたのでした。
キノ2
2011年4月7日
再会の食卓
切なくて寂しい想いに包まれている作品でした〜。元夫、現在の夫、妻の3人とも良い人です。特に現在の夫は国民党軍の兵士の元妻と結婚したことにより、言われなき差別を受けています。長年の間、それを受け止めて生きてきました。そこには彼の妻への愛が見えますし、妻も夫を本当に良い人だと感じて暮らしています。妻にとって夫は愛すべき人なのですけど…。そのすれ違いが本当に切なかったです。ラストの展開に、中国の家族というものの難しさを感じました。苦労してきた人が本当の幸せを見つけられない現実が悲しいなあと感じた1本です。
とりあえず、コメントです
2011年3月13日
映画「再会の食卓」余生をどう過ごすか
★★★ 最初からどうして今頃この台湾の夫は戻ってきたのか、いまひとつ理解出来なかった。しかもこの現代においてそれまで全く連絡を取っていなかったいう。それでも最後は最愛の人と残された時間を過ごしたいと言うとそれもアリかなと思ったりもする。でも残された上海の夫のこれまでの年月は何だったのかという話だ。これもどこかに正解のあることではない。映画は最後にほろ苦い味わいを残す。変わらないものと、変わっていくもの。それを嘆いてはいけない。その間も時間はゆったりと流れていく。
soramove
2011年3月10日
再会の食卓
★★★ 本作は、食事風景がかなり重要な意味を持っていて、何かというと孫まで入った3世代の大人数による食事となるのです。また、玉娥と燕生と陸善民の3人が囲む食卓は、そこで重要な話が取り交わされます。送別会は路地に食卓を出して行われ、周囲と溶け合って大層親密な雰囲気を醸しだしています。結局のところ、人々が家庭を持ったり離別したりと様々な動きを見せても、ラストの物寂しい食卓の光景に行き着くのであれば、大きな時の流れの中ではどのように転んでもあまり変わりがないように思えます。
映画的・絵画的・音楽的
2011年3月2日
『再会の食卓』(2010)/中国
★★★ 食卓を家族で囲むこと。しかしながらその胸中には裏腹の想いも同時に乗せているはずで、外での食事が台無しになるシーンにも重ねられている。原題にもあるとおり、"together"であるのにも関わらず、実際は"apart"だったのは、今まで築き上げてきた自分の家族だけではなかったということです。いくら歳月を重ねても、越えられないものは越えられない。それに耐えられるかどうか。この描き方が、どうしようもない現実を浮き彫りにしています。20年前に設定にしているところがまたリアルでもありました。
NiceOne!!
2011年2月11日
再会の食卓
★★★ 燕生を家族総出で歓待する善民たち。驚いたのは、このあと実にあっさりと玉娥に彼女を台湾に連れて帰りたい旨を告げ、彼女もまた即断で了承してしまう。しかもそれをこれまたサラっと善民に伝え彼も了承してしまうというのが少々信じられないというか…。この一連の流れの中で、もう少し玉娥と善民の葛藤が表現されても良かったのではないかと思うのです。この脚本の流れは実際の中国人や欧米人には普通なのでしょうか。結局最後まで彼らの口からお互いの誰かを責める言葉がでなかったのが意外であり、しかし嬉しいところでした。
LOVE Cinemas 調布
2011年2月6日
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