セントアンナの奇跡:作品を観た感想(23)
セントアンナの奇跡 : 戦場で起きた小さな奇跡
★★★★ 163分という上映時間、決して短くはないですよねぇ。しかしながら、本作はそのようなことを全く感じさせない作品に仕上がっていました。娯楽作品として戦争アクション、ファンタジー、ヒューマンドラマの要素を持っているだけでなく、きっちりとしたメッセージ性もあります。つまり、とっても中身の濃い作品だったということです。しかも、これが実話を基に作られたわけですから、人間ってどんだけ凄いのよなんて感じたわけです。様々な要素が高いレベルで詰め込まれた戦争ドラマの秀作です。
こんな映画観たよ!-あらすじと感想-
2013年5月16日
セントアンナの奇跡
舞台になるのはイタリア、トスカーナだが、登場するのはイタリア・ドイツ・アメリカという国籍の人たち。その立場も様々。一見、敵対しているようでも通じるものがあったり、1つに思えるものが実はそうではなかったり。国や人種で十把一絡げに括るのではなく、大きな戦争の中で1人1人がどうであったかを描いている。人間たちは過去と現代に繋がり、生き続ける命や思いがあるのだと思わせられる。これ自体はフィクションであっても、描かれた小さな1つ1つは、あったかもしれない出来事として、わたしたちの心に届いてくるのである。
悠雅的生活
2010年10月13日
セントアンナの奇跡
歴史的な真実とミステリーも交えながら、スパイク・リー監督らしい米軍黒人部隊バッファロー・ソルジャーを題材にした戦争ドラマ。ミステリーもあるので、とても引き付けられこの作品の映画の根底にあるものに考えさせられるが、どこか現実味がなく寓話のようで曖昧な感じがある。それが悪い訳ではなく、ストーリーも人間の本質を描いていて興味深い。スパイク・リー監督だからこそ差別の会話を観ていられたが、これが違う監督なら少し辛かったかも知れない。
元レンタルビデオ屋店長の映画感想
2010年2月15日
セントアンナの奇跡
★★★ 少年を通して村民、ファシスト党員、パルチザンとの出会い、そして厭戦気分漂うSS指揮官、脱走兵との絡みが出て来るのだけれど、登場人物が綺麗に揃い過ぎている。どうも寓話作りのためにリアリティが犠牲にされている気がする。1983年以降の話は意味がないように思える。パルチザンの裏切りはイタリアでは物議を醸したそうだが、「奇跡」は不必要で1944年のシーンだけで自己完結していた方が良かった。あの虐殺シーンと、国内で差別され続けていた黒人兵が差別しないイタリア村民と交流するストーリーだけで充分映画になったのだから。
佐藤秀の徒然幻視録
2009年12月17日
セントアンナの奇跡
一つ一つのエピソードを後になってバラバラにほぐしていくと、こちらの知識のなさもあって十分に理解できない点が出てきて、本当にそんなことがありうるのかと思いたくなる場面がいくつもみつかります。ですが、そうしたエピソードが次々に積み上げられ一つのストーリーとしてまとめあげれてくると、あまり細かいところにこだわらずに素直に受け入れて、まあそんなことかもしれない、と思えてきます。
映画的・絵画的・音楽的
2009年11月19日
「セントアンナの奇跡」 差別は制度によって実現する
冒頭で、テレビで放映されている映画[史上最大の作戦]は当時の欧米のオールスター出演という様相の大作であるが、黒人スターは出演していない。戦場の兵士には黒人がいない。この映画が製作されたのは1962年で、公民権はまだ実現していない。黒人差別がいかに徹底していたかがよく判る。黒人兵士たちは、戦地のイタリアで初めて差別のない状況に置かれる。そもそもイタリアには黒人差別というものがなかったのである。差別は制度によって実現するものであることが具体的に明瞭に描かれている。
映画と出会う・世界が変わる
2009年10月6日
映画 【セントアンナの奇跡】
★★★★ 入り組んだ人間模様を見ているうちに、冒頭の現代の事件の謎と戦争中の裏切り行為の謎がリンクしていくのです。アンジェロ少年に何か不思議な力が宿っているというファンタジー仕立てではなく、まさに人間が起こした奇跡だったというラスト。ちょっと出来過ぎかとも思いましたが、美しいカリブの海辺の風景と相まって素晴らしかったです。英語・ドイツ語・イタリア語での祈りが重なるシーン、祈っている相手は同じ神。やっぱり戦争は理不尽すぎるって強く思ったのでした。
ミチの雑記帳
2009年9月6日
【映画】セントアンナの奇跡
現代の事件と過去の事件とのつながりがあまりにも薄すぎるので、私にはそこから殺意につながるところがピンと来なかった。結局、この監督が書きたかったのは「黒人部隊」と「虐殺」だけで、それ以外の部分はとりあえずいい話にしておこうという雰囲気で、取ってつけてみましたっという印象しか残らなかった。「奇跡」だの「眠る男」だの基本的にはどうでもいいようなところに主眼を置いてしまったため、おかしな物語になってしまったんじゃないかと。
新!やさぐれ日記
2009年8月10日
「セントアンナの奇跡」
ある程度第二次世界大戦時のイタリアの状況を把握していないと、戸惑いを覚えることになるでしょう。「パルチザンって何?」ではメンドクサイことになるかな。トスカーナ地方のこともざっと知っておいた方が良いかも知れません。映画もシリアスで現代的な作風と60年代映画を彷彿させる演出がミックスしているのですけど観ていてしっくりいきません。テーマが重厚な作品なのにプロットがかなり複雑なのも…疑問です。
クマの巣
2009年8月4日
セントアンナの奇跡
<奇跡>の物語ではあるが、個人的には奇跡うんぬんはあまり感じなかったし、展開もある程度読める。しかし、良い映画なのだ。人の描き方だったり、戦争の醜さを丁寧に描いている。スパイク・リーが描くと戦争映画はこうなるのだ。という独特の流れが単なる戦争映画ではなく、むしろ戦争というのは物語の背景であり、人であり、人種が物語のベースなのだ。優しく、悲しい、良い映画。
映画が好きなんです。
2009年8月3日
セントアンナの奇跡
★★★★ 良く出来た逸品でした。なぞを膨らませてからのスタート。"セントアンナの大虐殺"からはスクリーンに釘付けです。本国アメリカでは黒人ゆえにさげすまれ肩身の狭い思いで生きている彼らが、戦場であるイタリアでは偏見も無く自由に振舞えるという皮肉。ナチスドイツ軍の中にも良心を持っている兵士がいたり、戦争が終わって家族との平和な生活を心待ちにしている士官がいたりする。二つの大陸、二つの時代を結んで起こる"奇跡"は心に染みた。
映画道
2009年8月3日
「セントアンナの奇跡」奇跡があるなら争いを無くしたい
★★★★ 戦時下、一般庶民を巻き込む悲惨な事件はいくつも起きた。その狂気を描きつつ黒人兵がどんな状況で戦争に参加していたか、ひとつの物事も複雑な要素をはらみ、簡単には割り切れない事実を浮かび上がらせる。自分の見た真実と他人の見た真実が違っているかもしれない。そんな危うさのなかでも、子供を守る、困った人を助けるといった根本は誰もが同意できるだであろう。そんな根本さえ無視された時代をこの映画でもう一度思った。
soramove
2009年8月1日
セントアンナの奇跡
悲惨な戦場の中で起きた小さな優しさにほほえましく思っていたのも束の間、パルチザンの攻防や住民とドイツ兵との対立なども絡み合い、周辺の戦況が急激に悪化。そして激しい攻撃の中で、4人の兵士たちと少年の運命は大きく変わっていきました。黒人兵士たちへの厳しい差別と、平等に生きることの出来ない現状。外国で始めて感じた自由と、その中で揺らいでいく祖国への複雑な想い。観ていて辛いシーンもたくさんありましたけど、深く考えさせられました。
とりあえず、コメントです
2009年7月30日
☆セントアンナの奇跡(2008)☆
★★★★ 人種差別、戦争批判をかなり感じましたが、1番感じたのは命の重さ、大切さであったような気がします…重たい作品でしたが、それでも観終った後に気分が沈まずにすんだのは人と人との絆を感じた奇跡…。ラストはできすぎと思っても涙が出てきてしまいました。途中、ちょっとくどい、長いと思うようなところもありましたが、史実も知ることができましたし、いろいろなことも考えさせられました。160分の長さを感じなかった見応えのある作品。
CinemaCollection
2009年7月29日
【セントアンナの奇跡】
同じ国の兵士として戦いながらも人種差別される。とても哀しいですねー。そんな彼らが見つけた1人の少年、彼は不思議な力を持っていたのでしょうか?少年に希望を見つけ託したのでしょうか? 戦争映画は嫌いです。残虐な行為や殺戮行為を見るのは苦手です。。 出来過ぎな、綺麗すぎるラストかな〜という気もしますが、こういうハッピーエンドは好きです!解ってはいたけれど、あの再会には思わず涙が。
日々のつぶやき
2009年7月29日
『セントアンナの奇跡』 試写会鑑賞
★★★ これでもか!というぐらい色々なことが詰め込まれているので、歴史的背景を知らない&記憶力がないと置いてきぼりをくらいそう。その分メッセージ性は強く、監督が訴えたいことが沢山伝わってきたように思いました。「奇跡」とつけてるだけあって、ラストは「奇跡」が起きます。正直大人のアンジェロがイマイチだったのと、展開が読めてしまった為か感動は薄かったですが、人種を超えた人の絆という意味ではとても良かったと思います。
映画な日々。読書な日々。
2009年7月28日
セントアンナの奇跡
描かれているすべてが後々の付箋になっていて、すばらしい脚本だ。原作者が脚本も担当して、セントアンナの大虐殺の寺院でも、現地イタリアでもロケを行っている。トレインがどんなときも離さなかったサンタ・トリニータ橋の石像の頭部の彫刻や、アンジェロの首にかけてやった十字架のネックレスは重要なアイテムだ。なかでも一番覚えておきたいのはドイツ製のピストル。映画には全く無駄なシーンがない。すべてが意味を持ち、それがラストの感動の再会シーンに集結する。
とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver
2009年7月28日
セントアンナの奇跡
スパイク・リーの黒人差別を扱った多くのパターンは必要と思う。決して嫌いだとかそういうことでは全く無いのだが。でも、今回は今までと全く違って万人受けしそうなテイスト。なんかホロッと感動した。東京23区では2ヶ所でしかやっていない。テレビ局とタイアップ、ドラマの延長、人気アニメばかりが映画館を独占して、このような素晴らしい映画を映画館で観る事が出来ないなんて、どこか狂っているとしか思わずにはいられない。
映画君の毎日
2009年7月27日
映画「セントアンナの奇跡」を観た感想
★★★★★ 第二次世界大戦当時の国際関係、国民の意識が非常に理解しやすい展開。オフィシャルサイトには、なんと世界史の講義までついているのだ!複雑な関係が一気に理解できるわかりやすさは、すべて監督の力量だろう。ラストがちょっと物足りなかったけれど、素晴らしい感動作品だった。
映画初日鑑賞妻
2009年7月26日
セントアンナの奇跡
★★★ 一本筋の通った硬派な作品。人種差別に対するアンチテーゼは痛烈に感じられ、強烈な反戦の想いも含んでいます。殺された男とへクターがこの広い世界で合間見えたというこの事実が奇跡だとわかるのは物語の終盤。更に最後もヘクターとある人物との出会いで締めくくられており、それもまた1つの奇跡でした。2時間43分、正直ちょっと長いです。しかし観ている人にストレートに訴えかける強さは相変わらずだったと思います。
LOVE Cinemas 調布
2009年7月26日
『セントアンナの奇跡』(2008)/アメリカ・イタリア
★★★★ 史実と、黒人兵士たちへのリスペクト、そしてひたすらにアンジェロを助けたいという想い。3つの要素をうまく絡めていると思う。時間がいささか長尺だが、飽きさせず、それを微塵にも感じさせない。最初の場面をよく覚えておくことが非常に重要。ここの記憶が映画の最後まで持つと、途中の種明かしは簡単にわかるし、冒頭とラストのつながりの美しさが感じられ、より一層感慨深い作品となるだろう。
NiceOne!!
2009年7月16日
セントアンナの奇跡 / MIRACLE AT ST. ANNA
★★★ あんな奇跡(偶然)ってほんとにあるのか?とは思いつつ、なかなか良かった。なぜ普通の郵便局員は突然発砲をしたか?なぜ高価な美術品を持っていたのか?という真実に至るまでが気になり、次第に自然に引き込まれていった。セントアンナの大虐殺や、サンタ・トリニータ橋の爆破など実在の事件を絡めて見せるのでかなり見ごたえもある。加えて、少年の正体(行方)もあって最後まで見逃せない。後半が特に面白かった。ラストにはなんとも言えない爽快感が残る、、、観てよかった☆
我想一個人映画美的女人blog
2009年7月8日
スパイク・リーの戦争 「セントアンナの奇跡」
黒人部隊を迎え撃つのは銃弾だけではない。 白人上官の差別意識は命がけの侵攻を無にするし、 ドイツ軍は放送によっても攻撃してくる。 アクシス・サリーの妖艶な声は"なぜ あなたたちを奴隷として扱う国のために戦うの?" とのメッセージで撹乱する。 逃亡したドイツ将校、 パルチザンの裏切り者…敵と味方はいつしか、 自分としていられる心の状態に還元され、 英語、 イタリア語、 ドイツ語の祈りがシンクロする。
シネマ走り書き
2009年6月24日
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