ワンダフルライフ:作品を観た感想(2)
ワンダフルライフ(1999)
★★★★ 映画監督も映画俳優も、フィルムの中で絶えず「一番大切な思い出」を作ろうと試みる訳で、それは伊勢谷の言うとおり、過去の記憶を思い出すのではなく、未来に向けた創造であってもかまわない。前者がドキュメンタリー、後者がドラマとなる。結果として、ドキュメンタリーから出発した是枝監督の経歴をなぞっていることになる。
佐藤秀の徒然幻視録
2012年8月24日
『ワンダフルライフ』
発想がいい、アイデアがいい。全体的に静かで淡々とした進行。面談のシーンはドキュメントのようにリアル。天国ヘの入り口という世界なのに、建物はおんぼろだし風景は田舎くさくて、しかも四季がちゃんとあるらしい。この時は晩秋かな。庭の枯れ木と木の葉、歩くときにかさっと鳴る乾いた音、アールグレイのティーカップからたちのぼる白い湯気…死者たちが集う場所に季節感があるのがとても不思議。息遣いがある。まるで"生"そのものが存在しているかのように。何より思い出を撮影するシーンは本当に面白い。参った。
シネマな時間に考察を。
2010年4月19日
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