戦火の中へ:作品を観た感想(4)

「戦火の中へ」
冒頭からすさまじい臨場感の戦闘シーンが描かれる。校舎に立てこもり、北朝鮮軍の猛攻に立ち向かったわずか71名の学徒兵たちは[アラモ]の玉砕戦を連想させるが、まさにそのような作り方。本作は悲劇性よりも学徒兵たちの個々のキャラクターと韓国軍のカン隊長、攻めてくる北朝鮮軍のパク隊長を実に格好良く描いているのが特長である。その意味ではハリウッド超大作のヒロイズム戦争スペクタクルという趣き。韓国映画が描く朝鮮戦争はこのように変化してきたのかと思わせる作品である。
映画と出会う・世界が変わる
2011年6月5日

『戦火の中へ』 ここだけの話
この攻防戦が滅法面白い。多勢に無勢ながら善戦する彼らには、それでなくても肩入れしてしまう。ましてや、こちらは寄せ集めの学生たち。相手は北朝鮮の正規軍だ。本作はヒーロー物、アクション物として鉄板の作りなのだ。それが気になるところではある。朝鮮戦争はいまだ終わってはいない。そんな中で「戦火の中へ」を戦争アクションとして楽しんでしまっていいものだろうか。もちろん辛く、悲惨なシーンもあるし、北朝鮮側の描き方にしても、人間くさく親しみが持てることを匂わせたりしている。とはいえ、同時にアクション物として優れているのも確かなのだ。
映画のブログ
2011年5月26日

韓国映画「「戦火の中へ」韓国が越えなければならない歴史
★★★★ この映画を見た韓国の観客は、すぐそばの同じ空を見上げる同じ民族をどう想っているのか気になった。ギリギリの精神状態を描き、生死を分ける瞬間を見ると気持ちが高揚するのは何故だろう。こういう気持ちも一歩間違うと「大儀」の為の正しい戦争もあると、おかしな方向へ正論が行き着きそうで人間のやっかいな「心」を想う。人間は戦いの歴史を学んでそろそろ成熟して良さそうなのに相変わらずだ。でも映画として見ると設定や戦闘シーンや主要人物の描き方までかなり良い出来で、その空しさを胸に刻んで劇場を後にすることになる。
soramove
2011年2月26日

戦火の中へ
ドラマチックにするためか、ムラン少佐が護衛なしの無防備で学徒兵が集結する学校に乗り込んでくるが、捕虜にした少年の証言を信用するのも有り得ないし、たとえ本当だと分かっていても、そんな無謀なことしないだろう。格好良さ、ダンディズムを前面に出し過ぎている。戦場になる浦項の学校の校舎も屋上がある鉄筋コンクリート。木造校舎だと戦車一発で丸ごと吹っ飛んで燃えてしまいそうだから派手な戦闘シーンには不向きということなのだろうか。そういう努力もあってか、戦闘シーンは予定調和的とはいえ迫力があった。
佐藤秀の徒然幻視録
2011年2月21日

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