ウディ・アレンの夢と犯罪:作品を観た感想(18)
「ウディ・アレンの夢と犯罪」(CASSANDRA'S DREAM)
★★★ ハワードは、なかなかのやり手で、ずる賢い人物だ。また、これを演じるT.ウィルキンソンの演技力は、本作に登場する役者の中で、群を抜いている。兄弟2人は路上でバーンを待ち伏せし、計画を成し遂げる。このシーンで直接現場を見せないのは、かえって見る者の想像力を刺激するといった効果的な演出だ。しかし、アレン映画の全作品を鑑賞し、彼のコメディ作品に何かと癒しを受けてきた筆者にとって、サスペンスものでは、笑いを一切排除したシリアスな本作よりも、コメディ・タッチの作品の方が、アレン映画には適していると思うのだが…。
シネマ・ワンダーランド
2010年10月27日
mini review 10492「ウディ・アレンの 夢と犯罪」
このサスペンスが混じった悲喜劇。ドキドキハラハラしながら、登場人物たちの息遣いに、入り込むわけではない。どこか遠方から、人生の悲喜劇に巻き込まれる登場人物たちを、頬杖をつきながら「ああ、やっぱりこうなっちゃうんだよなあ、人間って弱い生き物なんだよな」といった思いで、シニカルに観賞することになる。「人生訓」めいたところもあり、それほどエンタテイメントとして成功しているとは思えないが、どこかで身につまされるところもあり、ため息をついてしまうのだ。この兄弟の「俗物性」は、僕たちにもなにほどかは思い当たるところはある。
サーカスな日々
2010年10月14日
カサンドラズ・ドリーム 夢と犯罪
ウッディ・アレン監督らしい演出があちこちに散りばめられていて、最高にワクワクしちゃいます〜♪兄弟が犯してしまう犯罪のシーンでは、目で見せるのではなく音とシチュエーションで見せられ、何が起きているのかを感覚で知らされ"巧い!!!"としか言えないです。弟テリーの動揺も"一線を越える"事の重大さを上手く表現していると思いました。兄イアンのしたたかさ…弟テリーの小心者にもとれる誠実さ…。ラストの展開は"えっ!?"といういい意味での驚きが待っていて流石ウッディ・アレンだなぁ〜って唸ってしまいました。久々にお勧めできる作品です。
ひばなのシネマの天地
2010年9月10日
ウディ・アレンの夢と犯罪
野心家の兄は普段通りというかこれで自分の夢が実現できると嬉々としている、心の中では後悔とかもしてたかもしれないけど。しかし弟は完全に精神が崩れてしまって悪夢にもうなされて。そんな弟を必死に説得する兄、そんな2人を見てたら私まで胸が締め付けられて痛くなりそうでした。最初は本当に仲の良い兄弟で楽しそうな会話なのにラストは本当に切なくて…。この兄弟が取るべき道は本当にこれしか無かったのか?彼らが叔父に頼って来たから道は一つしかないように見えたけど、本当はもっとあったはず。そんな気がしてしまいます。
Diarydiary!
2010年6月26日
『ウディ・アレンの夢と犯罪』 (2010)
兄弟の思惑も夢や希望や顛末も、さして目新しさのない、そして観客の目を惑わす時代の描写も、何もかもが実は入念に練られた上で、一見、余計なものを削ぎ落とした作品のように見せる。その技こそがウッディ・アレンのクールな厭世観の魅力なのかもしれません。ロンドンという場所に埋没してしまいそうな、兄弟の小さな犯罪。罪は小さくないけど、いかにも小悪党然とした哀れな犯行。そこに残されたのは…。単に罪を犯した兄弟がいた…という事実。、、のように見える、スケールの小さい人間への共感と慈しみ。
よーじっくのここちいい空間
2010年6月11日
【ウディ・アレンの夢と犯罪】
[マッチポイント]には及びませんでしたが面白かったです!! ドキドキハラハラの連続。穏やかで少しずつ夢に近づいていく前半から、転落が待ち受けているよーって思うともうハラハラして落ち着かず。全体にとってもテンポよくて、お金持ちの伯父が登場してある依頼をされるまではとっても惹き付けられていました。兄弟どちらもとっても解りやすい思考回路。どの瞬間の二人の心の動きも行動も解りやすくて、さすがウディ・アレン巧い!って思いました。で、ラスト! 一体どうなる??とドキドキしていたら…こうなりましたか。夢の果ては皮肉ですねー。
日々のつぶやき
2010年5月26日
ウディ・アレンの夢と犯罪 / CASSANDRA'S DREAM
★★★★ 相変わらずのセリフの面白さと、笑っちゃうくらいのおバカ的発想の展開でひっぱる。この作品、舞台の芝居のようなこぢんまりとしてるんだけど、役者のうまさとストーリーでひっぱっていく力がある。へんな笑いに転ばないんだけどシリアスすぎないところが絶妙のうまさ。途中で叔父が現れてからの無理難題言ってきてぐっと面白くなったんだけど、そこからが結構長かった。ダラダラしてる感じでは決してなく、逆にどんどん話は進むしテンポもいいんだけど。でもわたし、この脚本、展開。理屈じゃなく楽しめちゃった!
我想一個人映画美的女人blog
2010年5月3日
『ウディ・アレンの夢と犯罪』(2007)/イギリス
★★★ 2人の兄弟たち、何かと言えば人を簡単に頼るような思考回路になっている。すぐ途方もなく一足飛びに成功することしか考えられないのだろう。浅い人間たちの集まり。そもそも、Cassandraとはギリシャ神話に出てくるトロイ王女かつ、予言者の名前。凶事の預言しても誰にも信じてもらえない境遇で、それを知ってか知らずかそんな名前をつけてしまったクルーザーで兄弟は夢を見る。どうしようもない話を、実にあっさりと淡々と、たたみかけるように、まるで教訓のように映画を作っていく様子は、ウディ・アレンの得意技とも言える。
NiceOne!!
2010年5月3日
ウディ・アレンの 夢と犯罪
ロンドンで暮らす金欠兄弟が、裕福な叔父に支援を求めたところ、ある条件を提示される…そして事件後、済んだことは忘れて、前向きに未来だけを見つめる兄と、自分の犯した罪に悩み苦しみ、前に進むことが出来ない弟。対照的な2人の姿を通して、理想と現実の違いを皮肉を交えて描き出す。頼りないキャラクターを好演のC・ファレルは、俳優としての一皮むけたよう。叔父を演じるT・ウィルキンソンは出番は少ないながらも、その存在感は圧倒的。ともかく、W・アレンらしさに満ちた作品。改めて言うことはないというのが率直な感想。
Movies 1-800
2010年4月29日
ウディ・アレンの夢と犯罪
すんなり了承しない。あっさり方法決まらない。なかなか着手できない。やたらと動揺しまくる。だって彼ら、平々凡々とした普通の人だもん。普通の人が普通じゃないことしようとしたら普通こうなるさ。だけど映画という世界では、こうならないのが普通。普通な行動を映した映画は普通じゃない。下手すると本当につまらなくなってしまいそうなのに飽きることなく見られる質に仕上げてるのは、さすがの手腕。それは主に会話作りの上手さだと思うんだが、BGMも上手かった。一回山越えた後の方がハラハラした。そうだよな〜。普通の人だもんな〜。
h
2010年4月22日
ウディ・アレンの夢と犯罪
★★★ 労働者階級の若者にすぎない兄弟が格安としてもなぜ中古クルーザーをわざわざ購入するのか、唐突な感じが否めません。結局、伯父さんだけが良い目を見るというのは釈然としないものを感じます。ですが、ウディ・アレンの作品を見る場合にはこだわるべきではないでしょう。映画作りのうまさとか、小作りの気の利いた短編小説を読むような味わいといった点を楽しめば、それで十分なのでは、という気がします。
映画的・絵画的・音楽的
2010年4月18日
映画「ウディ・アレンの夢と犯罪 」夢見がちな兄弟の転落人生
★★★ あと少しで明るい希望を掴めそうだったがそれと引き換えに悪事に手を染めたらいけませんよと、道徳的なオチは驚きが無かった。もっと皮肉な結末でも良かったんじゃないか。主演の二人の輝きの無さも驚きだ。それが意図したことなのかは分からないが、どこにでもいる夢みたいなことばかり考え、実力も地道な努力もしない人間にちゃんと見せている。地味な作品ながら職人の神経の行き届いた作品という趣。でも映画ならもう少し華やかさも欲しい。コメディというには笑えず、心理劇というには深みに欠ける。でもそれがこの人の映画なんだろうな。
soramove
2010年4月11日
ウディ・アレンの 夢と犯罪
犯罪に手を染めてからの兄弟の対比が面白かった。覚悟決めると犯罪に手を染めたことを過ぎ去った過去として、自分の夢に邁進する兄と、覚悟決めて犯罪を犯したけど、犯した罪に苛まれて、精神がボロボロになり薬と酒に溺れる弟。弟テリーが罪に耐えきれなくなったことで、ハワードとイアンが更なる犯罪に手を染めなければならなくなり、しかしイアンが最後の最後で躊躇してしまったがために起きてしまった悲劇。ラストはあっけないながらもなんとなくウディ・アレンらしいラストだなぁと個人的には感じました。
だらだら無気力ブログ
2010年4月11日
ウディ・アレンの夢と犯罪
この映画、「悲劇」と言われているようなんですが、わたしは喜劇だと思ったのだけど、どうかな。声を大にして喜劇よ、とは言いにくいのだけど、喜劇とでも思わなければ辻褄が合わない感じがするのだけど、どうかな…。もちろん、喜劇と言っても、ここにある「笑い」は(それがほんとにあるとすれば)ユーモアと言うような明るいものではなく、当然ながら、シニカルでビターで意地の悪いもので、たぶん笑わせることを意図しない笑い、という形容矛盾したものだとは思うのだけど。悲劇として「マジメ」に観てしまうと、あまりにも魅力に欠けるのではないかと。
キノ2
2010年4月9日
「ウディ・アレンの夢と犯罪」
実直そうに見えて以外や残酷な兄役のユアンと、チンピラ風で頼りないが実は誠実な弟役のコリン。このキャスティングはパーフェクト。夢に向かって邁進する兄の足を引っ張る弟を演じるコリンはあの太い眉を斜めにしかめっ面ばかりしていた。ユーモアを入れないで単にブラックなサスペンス・ストーリーはウディ・アレン映画には珍しい気がする。確かに"ノー!"とは言えない立場の二人、伯父ハワードの悪魔のささやきに"イエス!"してしまった兄弟のラストがあまりにもあっけなくて呆然。リアル過ぎる邦題・・原題のままでもよかったのに…。
ヨーロッパ映画を観よう!
2010年4月7日
ウディ・アレンの夢と犯罪
★★★ タイトルで思い出されるのは、バート・ランカスターとソフィア・ローレンの[カサンドラ・クロス] 選択肢がない状況に追い込まれ、理性が敗れ去る悲劇でもあるのだけれど、ハワードは何もこんな頼りなげな兄弟に運命を預けることもなかったのに。むしろバーンが「ポーカーは戦略が必要だ」とギャンブラーの先輩としてテリーに忠告していた。戦略を考えなかったという点で、ハワードもテリーと同じ穴の狢。またバーンはハワードの運命を有る意味予言できる立場だったという点で、ハワードはカサンドラに呪いをかけたアポロンということになる。
佐藤秀の徒然幻視録
2010年3月31日
*ウディ・アレンの夢と犯罪*
イアンはアメリカのホテル経営したいという野望がありますし、テリーはギャンブルにハマってしまってます。そもそもどうしてこうなってしまったのかといえば、それは"お母さんに原因がある"気がします。二人は叔父さんに支援を頼みその見返りに"ある提案"に乗ることになり…あ〜それにしても…お金をはたいて買ったクルーザーと悲劇。これはきっとアラン・ドロン主演の名作[太陽がいっぱい]へのオマージュでもあるのでしょうね。どちらも【労働者階級が憧れる上流社会やお金がテーマ】になっているように思いました。
Cartouche
2010年3月23日
ウディ・アレンの夢と犯罪
★★★ ユアンのスマートな風貌は長男らしく、コリンのワイルドな風貌は弟らしい、これはちゃんと考えられたキャスティングなんだなと妙に納得。この兄弟に対するイメージと、これから描かれていくストーリー上でのそれぞれの行動が意外に乖離しているのがこの作品の面白い点の一つでしょう。そして迎えた意外な結末―。部アレン監督の作品だけに乗せられて観てはしまいますが、はっきり言うと、内容的にそんなに面白いものだとは思えませんでした。個人的にはこの2人じゃなくても良いのではないか。そんな気すらします。
LOVE Cinemas 調布
2010年3月12日
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