ファーザー:作品を観た感想(2)
『ファーザー』をギンレイホールで観て、
★★『ファーザー=父ちゃん』というタイトルだが、内容的には『爺ちゃん』だ。「老い」と「健忘症」の映画だ。若かろうが、老いていようが、健忘症は恐ろしい。それは人々が普通に精神異常者を恐れるのと一緒、自分の拠り所である精神が壊れてしまうからである。その精神異常に自分がなる可能性がゼロではないからだ。ついつい、自分に置き換えて恐怖する。できるだけ、快適な状態で快適な最期を迎えたいというのが生物の願い一般だろう。で、そうならない老後を突き付けるこの映画はとてもキツい。
ふじき78の死屍累々映画日記・第二章
2021年10月28日
ファーザー・・・・・評価額1750円
認知症を描いた作品は古今東西無数にあるが、この病気をこれほどディープに、体験的に理解させてくれる作品は無かった。認知症という病によって顕在化された、不完全な人間に対する愛おしさが、凝った脚本と丁寧な演出によって、優れた心理劇として昇華されている。驚くべき未見性を持った傑作である。
ノラネコの呑んで観るシネマ
2021年5月19日
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