裁かれるは善人のみ:作品を観た感想(8)
裁かれるは善人のみ
原題は「リヴァイアサン」。邦題が明かしちゃってるからネタバレも何もないですが…「権力には、一般市民は太刀打ちできない」。なんて現実的で無慈悲な事実だろうか。あまりに不条理なストーリーには心が暗くなるばかりです。寒々しい光景が目に焼き付きます。浜辺に打ち捨てられた廃船と巨大なクジラの白骨。この陰湿な風景は、この町に住む人々の心そのもののようでした。
いやいやえん
2017年1月27日
裁かれるは善人のみ
★★★ 140分の長尺ながら、最後まで見る者を飽きさせません。
映画的・絵画的・音楽的
2015年12月12日
映画「裁かれるは善人のみ」を観ました。
本作にはいくつかの見所があるが、私が理解できた範囲で挙げるとすれば、それは次のように集約される。その一つは、北辺の地に蠢(うごめ)く政治権力と無力な市井の家族との戦いだ。本作は、アメリカで実際に起きた土地再開発をめぐる悲劇的な事件を一つのモデルにしているという。もう一つの見どころは、そうしたロシアの政治風土の後進性を示す宗教(ロシア正教)と政治の結びつきを挙げることができる。
みなと横浜みなみ区3丁目
2015年11月25日
裁かれるは善人のみ〜リヴァイアさン滅亡後のロシア
★★★ キルドーザー事件というアメリカで起きた実話をベースにロシアの北極圏にあるバレンツ海の漁村が舞台。モデルになったキルドーザー事件はコーリャではなく、市長側が“キルドーザー”を操縦し、コーリャの家を破壊する。実際にはボルボ製の建設機械なのだが、それがまた地上のリヴァイアサンの如き怪獣に見えるように撮影されている。
佐藤秀の徒然幻視録
2015年11月18日
『裁かれるは善人のみ』 北極圏の風景
男と女の答えの出ない愛憎、そんな彼らに襲いかかる権力。現代ロシアの地方都市を舞台にしながら、時代と場所を超えて人間のおろかさと哀しさに触れたように感じた。寒々とした風景のなかに、暖かな光をたたえた一軒の古い家がある。冒頭の映像からぐいぐい映画に引き込まれる。映画の最後に、同じカメラ位置からこの古い家があった場所を捉えたショットが登場し、暖かな光の灯った家のショットがテーマを象徴する深い意味を持っていたことが分かる。主人公たちは神の前で無力なヨブのようだし、北極圏の崇高な風景がいよいよそれを際立たせる。この風景に接するだけでもこの映画を見る価値がある。
Days of Books, Films
2015年11月16日
裁かれるは善人のみ・・・・・評価額1750円
★★★★ 本作の着想の元となっているのは、2004年にアメリカで起きた所謂「キルドーザー事件」だそうな。印象的に描写され、本作のキービジュアルにもなっているのが海岸にあるクジラの骨だ。色々な意味で痛い映画だが、不思議と後味はそれほど胃もたれしない。これは映画の視点が登場人物にどっぷり感情移入させるというよりは、適度に距離を保った批評的なものだからだろう。
ノラネコの呑んで観るシネマ
2015年11月10日
『裁かれるは善人のみ』 弁護士の真実と司祭の真実
この作品の原題は「リヴァイアサン」である。“リヴァイアサン”はヨブ記に登場する海の怪物のこと絶望的に暗いのだけれど、その暗さが物語を牽引しているところがあって、2時間20分の上映時間に退屈するところはなかった。
映画批評的妄想覚え書き/日々是口実
2015年11月8日
「裁かれるは善人のみ」
どんな風に裁かれるのだろうか?必ずや裁かれるんだよね?と、全編通して最初からドキドキしていて、ドアをノックする音にドッキリ、誰かが猟銃を手にすれば心臓バクバク、という大変に緊張を強いられる鑑賞となった。2時間20分、全てそんな状態。驚くべきことにこの作品は、アメリカで実際に起きた土地の再開発をめぐる悲劇をベースに書かれたとのこと。このロシアの海岸沿いの風景。冒頭から岩肌に打ち寄せる波の描写で始まるのだが、その静かなる寂寞感。
ここなつ映画レビュー
2015年11月6日
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