ブライト・スター いちばん美しい恋の詩 :作品を観た感想(7)

『ブライト・スター 〜いちばん美しい恋の詩〜』 (2010)
しっかりしたスタッフたちの創り出す土台の上で、その細やかで、密やかで、いじらしいまでの主人公たちの恋愛の皮膚感は、映画が話を伝える媒体であると同時に、登場人物の生きていた一瞬の息遣いを画面から発散させ、観客と共有させようと意識して創られている気がする。私は監督の意図しようとした「永遠と勘違いしてしまう時間(とき)の止まった、美しい空間」に切なくなってしまった。物語は進展して詩人キーツの短い生涯が閉じるときまで描かれているんだけれど、私には凝縮された濃密な恋愛の瞬間の至福を描くためだけに存在している映画のようにさえ思う。
よーじっくのここちいい空間
2010年9月30日

ブライト・スター 〜いちばん美しい恋の詩〜
英国の綺麗な自然とジョン・キーツから生まれた素敵な言葉の数々にすっかり魅了されてしまいました。特にファニーとの会話や彼女に贈った手紙なんかにも言葉遊びがあって聴いててクスってなったり感心したり、言葉に惚れてしまいました。キーツとファニーの恋はとってもピュアで素敵。壁を挟んで隣の部屋にいるのが分かってるから、お互いのベッドを壁にくっつけて頭や手を壁に充てて存在を感じているシーンは切なくなりました。ベン・ウィショー、繊細な詩人の役ピッタリ。アビー・コーニッシュ、優しく芯がしっかりしてるファニーを素敵に演じてました。
Diarydiary!
2010年8月19日

「ブライト・スター 〜いちばん美しい恋の詩(うた)〜」
ファニーがベッドルームに放った蝶の姿を思い出す。もう一つ極めて印象的なシーンがある。隣人同士のキーツとファニー。互いのの家の間には白い壁が存在する。ファニーは自分のベッドをその壁にくっ付ける。そして壁に耳をあて隣の音を聞く。ファニーの壁の向こう側の壁にはやはり彼女の存在を感じているキーツがいる。時代が時代ゆえスゴくまどろっこしい二人の恋だが、だからこそあのようなラブレター(詩)が何度も何度も書かれることになった。繊細なタッチで心情が描かれるジェーン・カンピオンのヒロイン像にはいつも心引き込まれる。
ヨーロッパ映画を観よう!
2010年6月29日

ブライト・スター〜いちばん美しい恋の詩〜
★★★ 自分以外の美しいもの、詩とはかけ離れたものと思われる日常的な平凡なものさえみんな永遠の美しさを湛えている。死が差し迫った者にとって詩は力どころか無力感の源でさえある。詩にすればするほど、間もなく消え去る美しいものがより輝きを増すのだから。アビー・コーニッシュの健康的な美しさがそれをより対照的に見えさせる。ストーリーも特に奇を衒う演出もなく抑え気味で地味。自然の風景も美しくあっても慎ましい静けさに包まれている。何よりもキーツ自身が終始一貫一番地味な人間として描かれている。現実は平凡なのだ。
佐藤秀の徒然幻視録
2010年6月27日

ブライト・スター いちばん美しい恋の詩(Bright Star)
ドロドロした駆け引きなどない、純粋にお互い愛しあう純愛映画でした。そういった純粋な感情のやりとりに加えて、19世紀の静かな背景が、とってもふわっとした、なんと言うか澄んだ映像の雰囲気を持つ映画でした。…なんてことを書いたりしてますが、正直、睡魔との戦いでした…。映画が悪いと言うわけではなく、単に私が純粋に恋愛映画がダメなんです。[オータム・イン・ニューヨーク]でも同じ感じになってしまったので、そういったのが好きな方にはいいんじゃないでしょうか。特に、スレてない純粋な女性の方はどうぞ。以上、ご参考。
シネマクマヤコン
2010年6月21日

ブライト・スター 〜いちばん美しい恋の詩〜
美しい印象の残る作品でした。主演のファニーの可愛らしい純粋さと、ジョンの儚くも激しい恋に生きた男の姿が、19世紀のロンドン郊外らしい自然の光と影の中で映し出されていました。アビー・コーニッシュは[エリザベス・ゴールデンエイジ]を観た時に、可愛い女優さんだなと思っていました。ベン・ウィショーは[パフューム]の時にも独特の雰囲気を持っている人だなと感じたのですけど、今回のジョン・キーツにもぴったり。言葉に生きる詩人らしい繊細さが似合っていました。恋の美しさと共にファニーはこの後どうなったのだろうと気になった1本です。
とりあえず、コメントです
2010年6月19日

*ブライト・スター 〜いちばん美しい恋の詩(うた)〜*
ファニーのことを思えば思うほど、身を引くキーツ。お金のことなど問題ないと彼を追うファニー。ああ・悲しい…ふたりで過ごしたそんな日々のことがゆっくりと描かれていきます。この映画、ストーリーはなんのサプライズもありません。でも展開を追うのではなく、田舎の風景、音楽が少なく鳥たちのさえずる声だけがし、いつも風が吹いている様子。ふたりの淡い恋と映画全体の雰囲気を静かに味わってほしいです。ジョン・キーツ、詩人として活躍したのはたった5年ですが、美しい詩をたくさん残しています。
Cartouche
2010年6月11日


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