婚約者の友人:作品を観た感想(8)
映画評「婚約者の友人」
★★★★ 本作は21世紀の作品らしく、個人の心境に重きが置かれている。特に、親たちに配慮すべく、前半嘘を付かざるを得なかったフランス青年と、後半嘘を付かねばならないドイツ娘との正確な対称という形で、民族的主張のかまびすしい中に個人の存在を浮かび上がらせ、それにより戦争或いは民族間の憎悪が個人とは関係のないところで起こり行われていることを浮き彫りにする。変化球的反戦映画と言うべし。
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
2018年9月16日
婚約者の友人
★★★ 一見古典的に見えてその実、一筋縄ではいかないのがこの監督の見どころ。ところどころにカラーの情緒豊かな映像を挟んだりし、ひねりのあるストーリー展開でミステリーを深め、キャラクターに対する観客の認識をかく乱するような仕掛けをそっと忍ばせて置くのも良かった。戦争を描いた背景には、ストーリーに深い傷跡が刻まれているからであり、いわばオゾン監督の個性とクラシックな品格を表した重厚な傑作といえよう。本作の成功の要素として、さらにかかせないのが二人の主演俳優の貢献だろう。
映画に夢中
2018年1月10日
【映画】婚約者の友人
ピエール・ニネ演じるアドリアンの謎めいた存在感も面白い。ヴァイオリンを教えるアドリアンの指がフランツに触れるシーンに萌え、さらなる何かを期待してしまったではないか。そうして観客を翻弄してくるところがこの映画の面白さ。オゾンの手のひらでコロコロ転がされているような快感があるのです。大いに妄想し、オゾンワールドを堪能すべし。絵画のような映像には芸術に疎い私でも格調の高さを感じます。嘘は人の心を癒すけれど、現実を受け止めてこそ強くなれることもある。最後に鮮やかに色づいていくヒロインが清々しく美しかった。凄く好きな作品でした。
アリスのさすらい映画館
2017年12月16日
「婚約者の友人」:玉虫色のモノクローム
今回の作品自体があたかも昔作られた名作のような「擬態」をまとっていて、そこらへんの曲者感がやっぱりオゾンだよなという感懐を抱きました。モノクロ映像の質が、やけに昔っぽいのです。どうにもはっきりしない、はっきりさせない、玉虫色の作品なのです。主演男優のピエール・ニネは、あのサンローランを演じた人だったんですね! 今回は妙に中性的な雰囲気を醸して、ミステリアスでした。
大江戸時夫の東京温度
2017年11月23日
婚約者の友人
★★★★ 全体としてオーソドックスなラブストーリーながらも、サスペンス物的な要素も加わって、なかなか見ごたえのある作品になっているように思いました。本作は、嘘というものに焦点が当てられていくように思われます。
映画的・絵画的・音楽的
2017年11月11日
『婚約者の友人』 フィクションのなかで死に、現実において生きる
この作品では登場人物の感情が高揚する部分となると、いつの間にかにモノクロの映像がカラーへと変化する。モノクロ作品だからというわけではないけれどクラシカルな雰囲気を持つ作品となっていたのは、ピエール・ニネのいかにも整った顔立ちが古風な出で立ちにもよく似合っていたからだろうか。
映画批評的妄想覚え書き/日々是口実
2017年10月26日
「婚約者の友人」
正統派悲恋物。悲恋物という言い方は正しくないかもしれないが、ラストの汽車の発車シーンは名作「旅情」を彷彿とさせる。時代の残酷さと愛情の移ろいとが、モノクロームの画面とカラーの画面とを上手く組み合わせて表されている。流石にフランソワ・オゾン。味わい深い作品だった。
ここなつ映画レビュー
2017年10月24日
婚約者の友人
いくつかの謎でひっぱっていく映画。語り口はいかにもヨーロッパ映画という感じのまったり感横溢で眠気を誘われる。何だろう何だろうと思いながら観ていると最後まで到達できる。
あーうぃ だにぇっと
2017年10月19日
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