バビロンの陽光:作品を観た感想(6)

映画「バビロンの陽光」 それでも生きていく
★★★★ とにかく見てるだけで苛酷な旅だ。すがるものと言えば900キロ先に父がいるということ。しかしそれも目的地の刑務所に着くとリストに名前は無く、どこに行ったかも分からないと言われる。この後は希望の無い旅と変わる。最後の最後まで明るい希望の片鱗さえ見えなかった。かつての繁栄の都バビロンは荒廃し、そこに住む人、やってくる人、全てに冷たい現実を突き付ける。残ったものは混乱の傷跡の残る大地と短い間に様々なものを見た少年だけ。そして前に続く道。ただ生きることがこんなに困難であってはならない。そんなことを強く感じる映画だった。
soramove
2011年8月8日

『バビロンの陽光』
クルド人もアラブ人もアッシリア人も、イラクに生きる人々はみな、栄華を極めた古都バビロンの尊い子孫たち。世界の中で軽んじられてよい命では決してない。それを伝えたいという監督の心の叫びが聞こえるようだ。今際のきわ、孫に息子の姿を重ねて呼びかけた祖母の、今はもう見えないその目の奥では愛しい息子との再会が果たされたのかもしれない。ひとりになった少年は、またひとつ強くなる。最後の涙を拭ったら、父の形見の縦笛を夕陽に向かって奏でてみせる。父と祖母の弔いとして。明日も生きていく自分への餞に。イラクの未来の希望のために。
シネマな時間に考察を。
2011年7月13日

『バビロンの陽光』 バビロンの息子ではない理由
映画の価値や魅力はその作品ごとに異なる。本作の場合は、それが作られたこと、上映されたこと、観られたことに価値があろう。機材も人材もない中でイラクから映画を発信し、イラクの人々の姿を伝えることに、ずっしりとした重みがある。本作はフィクションであり、登場人物は脚本に書かれたセリフを口にしているのだが、にもかかわらず感じられるのは、この国の現実を伝えたいという作り手の思いである。本作を観たならば、美しい夕陽の輪郭や赤い大地と女たちの黒い服のコントラストが、あなたの脳裏から消えることはないだろう。
映画のブログ
2011年7月6日

バビロンの陽光
覚悟はしていましたけど、あまりの悲しみの大きさに圧倒されました。国全体が夫や息子を奪われた女性たちの悲しみに覆い尽くされているようでした。主人公である祖母を演じたシャーザード・フセインさんは女優ではなく監督さんが見つけた人。実際に夫や子供を戦争で亡くしたり、親戚の遺体を遠い墓地から地元へ移したりと本当に辛い体験をされていたそうです。映画もまるでドキュメンタリーを観ているような感覚に陥りました。ラストの展開はショックでした。それでも、せめて幼い少年に希望の未来が来ることを願って止まなかった1本です。
とりあえず、コメントです
2011年7月2日

バビロンの陽光
★★★★ 湾岸戦争で行方不明になった父親を探す息子とその祖母の姿をドキュメンタリー・タッチで描いているだけの単純な作りの作品ながら、舞台はフセイン政権崩壊直後のイラク。祖母と孫とは少数派のクルド人。南部の集団墓地から数十万人の身元不明遺体が発掘されていたりと、実に様々の厳しい現実を取り上げていて、見る者に深い感動を与える作品です。
映画的・絵画的・音楽的
2011年6月30日

「バビロンの陽光」
イブラヒムに会えると信じ、汚い顔は見せられないと、互いが川の水で顔を洗ってやるシーンが素敵だった。それと、ヒッチした車の運転手と旅の途中、二人が出会うムサ。最初は胡散臭そうに見えた二人の男たちが、実は良い人という展開にも救われる。祖母役も孫役も現地で発掘したクルド人。映画の中で本当の祖母と孫にように見えて、物語なのかドキュメンタリーなのか分からなくなってしまう。息子を見つけることが出来なかった母親は、孫のアーメッドに何度も"イブラヒム!"と呼びかける。泣きながら祖母にすがりつくアーメッドの姿が涙を誘う感動のエンディングだった。
ヨーロッパ映画を観よう!
2011年6月19日


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