小さな村の小さなダンサー:作品を観た感想(12)
mini review 11529「小さな村の小さなダンサー」
★★★ 空中で静止するかのような大きな演技、僕たちはミーシャのテープをリーといっしょに見ながら、そのミーシャを糧として訓練に励んだリー・ツンシンや、そのリー・ツンシンを演じたツァオ・チーや、十代後半のリーを演じたグオ・チェンウの系譜を、やはり驚愕しながら見ることになる。古典バレエの小気味いい振り付けは才人であるグレアム・マーフィー。バレエシーンだけでも心踊るものがある。ブルース・ベレスフォード監督は、優秀なスタッフを引き連れて「反共」映画と紙一重のところで、中国の大衆に暖かいまなざしを送っている。
サーカスな日々
2011年7月18日
「小さな村の小さなダンサー」で考えさせる...
本作を見て感じたことは、中国の芸能、スポーツの育成というものは小さい頃から本人の興味などとは関係なく、身体的条件で選ばれて徹底した英才教育がほどこされるのではないかということ。技術的・技巧的なものが重視され、人々に与える感動的なものは省みられないのではないかということだ。リーはアメリカにわたり、恋をしたことで踊りの表現も変わってきたのではなかろうか。この作品はそこまでは描いているとは言えないが、そこに踏み込みながら、踊りの技術力と表現力との間で、主人公がどんな葛藤や苦悩を持ち、亡命に至ったかも知りたかった。
映画と出会う・世界が変わる
2011年1月20日
「小さな村の小さなダンサー」で「正義」の...
物語はリーがアメリカでバレーを続けたいと亡命する事件が大きな柱になっている。追い詰められた状況で、リーにとって正義とは何であろうか? 亡命することは彼の踊りたい希望にとっても、またバレーという芸術にとっても正しいこと。しかし、もしかしたら中国の両親の生命はなくなるかもしれない。芸術もまた政治とは無関係ではいらないという、このような状況はどの国でも起こりうる物語にも関わらず、この作品では中国の政治体制が「悪役」となっている。その意味で本作は典型的プロパガンダ的娯楽映画である。見事な出来であると、ここは賞賛である!
映画と出会う・世界が変わる
2011年1月15日
小さな村の小さなダンサー
とにかく、ダンスのシーンがとってもチャーミングなのです。リー・ツンシンを演じるツァオ・チーは、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団でプリンシパルとして活躍しているダンサー。彼の踊りを見られただけで、この映画を観た甲斐があったと思えてしまいます。わかりやすく手堅くまとめてあり、全編に「いい話」がちりばめられているのですが、あざといというようなことはなく、むしろ素直にそこで「よかった」と思える作りになっています。走不動也走、我要飛!(歩けなくたって歩くさ、だってぼくは飛ぶんだもの!)と言うときのツンシンの瞳の輝きが(>_<)
キノ2
2010年11月9日
「小さな村の小さなダンサー」 文化大革命に翻弄されたひとりのダンサー
★★★★ 自伝の事実を追うあまり慌ただしく事実が描かれて、深く掘り下げないため、物足りない部分もある。でもそんなことどうでもいいと思えるくらいの感動の瞬間を見られたのだからそれでいい。国を捨てることは2度と戻れないこと、家族がどんな迫害にあっているのかも分からない、それでも選んだ選択。だから両親の姿を劇場で見つけた時の彼の表情は最高だった。本作では文化大革命というものの端緒を見ることができた。生きにくい時代を誰もがもがきながらなんとか前に進んで行く。その勇気を皆等しく持っているのだと、映画がそっと教えてくれたようだ。
soramove
2010年10月2日
*小さな村の小さなダンサー*
最初から並行して青年期のリーがアメリカ、ヒューストンに渡ったあとのことが描かれています。結局亡命のような手立てをとるのですが、家族のことを大事に思う彼にとってそれはどんなに辛いことであったでしょう。でも"どんなことがあっても自分の夢はあきらめない"その強い姿勢があったからこそやっていけたのですね。才能ある人をちゃんと公平に見いだそうとするところはアメリカの良さですね。ラストにかけては"あるひとつのトリック"があり、そのためより感動できるようになっています。それにしてもバレエシーンの素晴らしいこと!
Cartouche
2010年9月25日
『小さな村の小さなダンサー』 踏み込まない理由
本作が優れた映画であることには、誰も異論はないだろう。一人のダンサーの半生を通して、文化大革命という過酷な時代を描いた本作は、スリルと笑い、涙があり、家族の愛や友情があり、何よりも素晴らしいバレエシーンがある。そして物語の裏には、努力と才能、表現と自由についての問いかけがある。映像と音で物語る「映画」という媒体の特徴を最大限に生かした作品だ。しかし映画はあまり踏み込まない。リーもエリザベスも実在の人物であり、彼らを取り巻く人々も健在な今、あまりにも赤裸々に暴き立てるのはむご過ぎる。そう判断したに違いない。
映画のブログ
2010年9月5日
小さな村の小さなダンサー
原作に沿って再現された亡命劇の攻防。中国の領事館だから、あっても不思議ではないけれど、判っていてもココは緊張と恐怖と怒りで胸が震えるシーン。リアルな亡命劇の舞台裏といった感があり衝撃です。そして、力強い味方もあり、祖国・中国の広告塔としての将来を捨て、自由なバレエの道を選ぶ彼には厳しい現実と、別れが待っていたけれど…。無駄のない脚本と、惜しみないバレエシーンにただただ惹きこまれていた2時間でした。ただ、亡命してからの彼の心理をもっと丁寧になぞって欲しかった!最後が駆け足で、勿体無かった。
to Heart
2010年9月4日
『小さな村の小さなダンサー』(2009)/オーストラリア
★★★ 社会主義国家は、自由な表現を求めて国外へ行く人にとっては、まだまだ制約が厳しい。貧しい農村から生まれた天才ダンサーですが、その陰には様々な苦難がありました。それは本人だけではなく、望まずして周囲も巻き込んでしまうものです。家族と裂かれる苦しみは、残される方の家族も同じことだし、まして政治的に糾弾されればなおさらだったかと。ですが、やはり最後は家族を想う心が彼を支持していたし、その想いに彼も十分応えて活躍をして今がある。複雑な背景のもと、運にも恵まれて花開く喜びを感じることができた作品です。
NiceOne!!
2010年8月22日
小さな村の小さなダンサー
★★★★ 元々は米国に亡命した実在の名バレエダンサー、リー・ツンシンの自伝を映画化したもの。特に少年期の生活の様子は、当時バリバリの共産主義を喧伝していた中国の実態を伺い知れることができて興味深いです。印象深かったのは、文化大革命真っ只中でのバレエと国家の関係。リー役を務めた英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシパルであるツァオ・チーのダンスはとにかく素晴らしい!そのためバレエシーンが変に短く感じました。そこの演出がちょっと惜しいですが、中国の近代史的な面とバレエの面の両面共に面白いと感じられた作品です。
LOVE Cinemas 調布
2010年8月17日
小さな村の小さなダンサー
素晴らしいダンスでした〜。能力を買われてダンスの英才教育を受けた少年時代。練習に落ちこぼれながら苦労して心身ともに強くなっていった青年時代。そして高い身体能力と表現力で才能を開花していった成年時代。特に成年時代を演じたツァオ・チーは英バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍しているダンサー。そのダンスシーンは感動させられるほど力強く美しかったです。映画を観て、中国のここ数十年の変動の大きさに改めて驚きました。激動の中を必死に頑張ったリー・ツンシンが才能を開花することが出来て本当に良かったと感じた1本。
とりあえず、コメントです
2010年8月7日
『小さな村の小さなダンサー』お薦め映画
★★★★★ 本物のバレエ団の協力により、古典も現代舞踊も、どれもダンス・シーンは素晴らしかった。本作は体制の違いを批判するのではなく歴史的事実として描いている。バレエに感動し、若き主人公の苦悩に共感し、ラストでは思わずもらい泣き。バレエ好きの方も、歴史好きの方も、映画好きの方も楽しめる、お薦め作品だ。
心をこめて作曲します♪
2010年8月4日
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