マイ・バック・ページ:作品を観た感想(20)

【マイ・バック・ページ】暴力で世界は変えられない
ただ、あの時代の大学生は熱かったんだな、と思うだけ。そして、申し訳ないが、あまり賢い生き方とも思えない。こんな私に梅沢という人間が理解できるはずもなく、もう、ただ、ひたすらに怒りがこみ上げた。これを見て一番に思い出したのは、あの「オウム真理教」である。梅沢が麻原に見えて仕方なかった。それを雄弁に不気味に演じた松山ケンイチが素晴らしい。後味は良くない。しかし、心に当たる物は確かに存在する作品だったと思う。
映画@見取り八段
2011年12月5日

「マイ・バック・ページ」
★★★★ 観に行って良かった。良く出来ている。原作ではほとんど語られていないK=梅山(松山)の実体をきちんと描いているし、主人公・沢田(妻夫木)についても、かなり批判的に醒めた目で描いている。これによって、いつの時代にもある、時代に抗おうとして敗れて行く若者の未熟さ、人間の自分勝手さ、愚かさを普遍的に描いた優れた人間洞察ドラマになっている。一番良かったのは、自衛隊朝霧駐屯地における、被害者の自衛官が刺され、死ぬまでの様子を時間をかけて克明に描いている点である。原作では希薄だった、"理不尽に奪われた、人一人の命の重さ"がきっちり描けている。
お楽しみはココからだ
2011年6月20日

『マイ・バック・ページ』 (2011) / 日本
スクープが欲しい。一人前になりたい、認められたい。そのエゴがぶつかり合うとどうなるか、という映画でしたね。自己利益のために人を利用した結末は実にほろ苦い。松ケンは、「欺瞞」ということを踏まえて演技していました。[ノルウェイの森]と同時代なだけに、違和感無かったですね。あの時代の、まるで違う側面を演じているだけに、彼がつくづくはまってたなあと。そして妻夫木くん、最後の長回し、あんなに演技できるんですね。ずいぶん役者として成長したと思いました。それだけでもこの映画観る価値はあると思います。
Nice One!!
2011年6月19日

マイ・バック・ページ
★★★★ 実際にあった赤衛軍事件を巡るお話で、ジャーナリストと活動家との交流を描いています。でも本作では、そうした時代状況と密接に絡みつく事柄ばかりを読み取るべきではないのでしょう。当時のことを知らずとも様々に議論できる素材を幾つも抱え込んでいると思われます。ただ、年齢のことはともかく、もう少し大人の女性を登場させて、主人公らと絡ませるようにしたら、この映画もズッと深みを増しただろうにと思った次第です。
映画的・絵画的・音楽的
2011年6月18日

『マイ・バック・ページ』 若者に足りないものは?
本作は、沢田の視点が中心であり、片桐の心情を直接描くことはない。そのため観客は、沢田の悩みや焦りには共感しやすいものの、片桐のことはあくまで客観視し続ける。それゆえジャーナリスト気取りの沢田に騙されていた人物との再会は強烈だ。そのとき初めて、沢田は、そして観客は、自分が片桐をまるで理解していなかったこと、自分こそが片桐を理解すべき人間であったことを知る。沢田がおいおいと泣くラストは胸を打つ。それは、人前で泣くなんて想像できなかった若者が、いつの間にか自分も大きな荷物を背負い込んでいたことに気づく瞬間だ。
映画のブログ
2011年6月6日

映画「マイ・バック・ページ」感想
最初から最後まで陰々滅々な雰囲気に満ち満ちていましたし、明るい要素がどこにも見当たらない映画と言えます。1970年代テイストは上手く再現できていたようで、年配の人には「懐かしい」と思わせるものがあったようなのですが、それ以降に生まれた人間としては「単なる歴史の1ページ」以外の感想など抱きようがありませんでしたし。「当時の歴史を振り返る&検証する」という目的であればそれなりに楽しめるのかもしれませんが、エンターテイメントしての盛り上がりを期待すると痛い目を見ることになる作品でしょうね。
タナウツネット雑記ブログ
2011年6月6日

『マイ・バック・ページ』こそ「これでいいのだ!!」だよ。
今この時代に昭和40年代の学生運動を振り返ると、悪いけどどうしてもアホくさく見えてしまう。本作はそんな地に足がついていない熱狂をクールに眺め、それでいてそのフワフワした熱狂をなんとか意味づけようとする気持ちを肯定する物語だったと思う。世の中の無意味さをさんざんニヒルに描きながら、それでもそれをそこまで無駄なものでもないと語っている、間抜けで冷笑的で不細工で貧乏くさいけれどそれでも一陣の爽やかな風が吹くような作品であったと思う。超絶オススメでございます。
かろうじてインターネット
2011年6月6日

マイ・バック・ページ
語られる言葉の熱さに、やっぱり今の日本とは違うなと感じました。純粋に信念を持つこと。運動家となって自分の目的を達すること。真っ直ぐに生きようとしている主人公たちはスクリーンに輝いてるように見えました。そんな沢田と梅山を演じた妻夫木さんと松山さんの姿はそれぞれのキャラクターにぴったりで、その時代を自分なりに生きようとした若者たちの姿を体現していました。様々な想いが重くうごめく時代の中で、二人はこういうふうにしか生きられなかったのだなと感じました。映画館を出た時、久々に外の空気がほっと感じるような作品だったな。
とりあえず、コメントです
2011年6月4日

勘違い男の暴走。『マイ・バック・ページ』
★★★★ そもそも梅山にも沢田にも自分が貫き通す確かな信念なんてモノは無く、表面的なカッコ良さに憧れただけの身のほど知らずの青二才。彼らの行動は野望に燃える勘違い男の暴走に過ぎません。本物の学生運動家になりたかった梅山と真のジャーナリストになりたかった沢田。私は梅山にも沢田にも嫌悪感しか抱けませんでしたが、最後の最後に沢田がむせび泣く姿を見てなんだか少し救われたような気分になりました。それは沢田が自分のやらかした事、くだらない過去の自分の理想をようやく冷静になって見る事が出来た貴重な瞬間でした…。
水曜日のシネマ日記
2011年6月4日

「マイ・バック・ページ」 そんな時代もあったねと
★★★ 特ダネをものにしたいという新聞記者としての気持ちと、どこか時代の流れに乗り遅れたような、そんな気持ちを抱いていた心にまさに光を当ててくれる人物と出会い、彼の「信じたい」という気持ちが裏切られていく。それほどの衝撃を感じないのは今現在、自然災害という途方もない力の前に何もかもが麻痺してしまい、安全圏で熱くなってる等身大の人間をただただ滑稽にしか感じられない。それこそが今の時代のムード。自分の存在意義や社会との関わりを真剣に考えることは少ない。だからこそこの映画に描かれた時代がものすごく遠くに感じられた。
soramove
2011年6月3日

[映画『マイ・バック・ページ』を観た(短信)]
この映画、面白い!時代の描き方が秀逸である。何度も生まれ変わった日本の、一番最近の青春の時代を青臭く、ダサく、胡散臭く、見事に描いていた。何より「中二病」的な思考回路で時代を乗り切ろうとした梅谷を演じる松山ケンイチの演技が最高。この普遍的な個性のキャラクターの存在が、この作品で描かれた時代を現在において語る意義だと思うのだ。妻夫木自身の個性はそぎ落とされ、役柄の個性が出てて良かった。あたかも伏線のように語られていた「男の涙」が、カッコ悪い焼き鳥屋の片隅で為されるのが、物語的な計算の行き届きが感じられた。
『甘噛み^^ 天才バカ板!』
2011年6月2日

*マイ・バック・ページ*
ああ・・確かに梅山たちがしたことは悪いことです。でも取材の秘匿性や彼の正義感は?沢田の信念は? すごくむずかしい立場ですけれど、共感できます!! そしてラストが秀逸!これほどのラストを持った作品ってそれほどないのではないかしら…。監督、山下 敦弘さんはなんと34歳。この時代のことはまったくご存じない世代ですが、もしかしたらだからこそ客観的に撮れたのかもしれませんね。70年代の雰囲気ど出すため、画面を暗めにし、グリーンと赤と強調していますので私は大好き。ただ一般ウケはしないということでもあるかもしれませんが…。
Cartouche
2011年6月2日

マイ・バック・ページ 原作と映画化作品
この小説を映画化する監督も登場し、現代の2大若手スターがキャスティングされた。保倉幸恵に相当する人物も登場し、原作に描かれているエピソードもほぼ取り入れられている。しかも、それは装飾的な位置づけではなく、主人公も含めて革命に関わろうとする人物たちとの精 神的な比較をして人間像を見事に浮かび上がらせた。彼女は、この映画の影の主人公といってもいい。彼女の死を語るシーンも素っ気ないが、それがかえって効果をあげている。
映画と出会う・世界が変わる
2011年6月2日

『マイ・バック・ページ』
学生運動が世の中を変えられると信じられていた時代の息遣いが聞こえてくる。東大安田講堂陥落をリアルタイムでは知らない世代が作っているのに、そんな感じがする映画でした。山下敦弘監督が渾身の想いを込めて、一見退屈に感じてしまうかも知れない世界観を見事に「あの時代の話」として見せ切った、切なさと力強さが同居した映画だと思います。決して感情的になることなく淡々と、でも力強くあの時代を描いたこの映画。この時代だからこそあの時代の息遣いが聞こえてくるのかも知れない。そんな気がする映画でもありました。
こねたみっくす
2011年6月1日

映画「マイ・バック・ページ」
監督の山下敦弘、脚本の向井康介。また連合赤軍事件の後に生まれ、その生活の中に学生運動というものがない時代を生きてきた二人が、全共闘運動がピークの時期に生きて、その傷を抱えることになった川本三郎の一種の私小説を映画化したというこの異種配合のような組み合わせが、この作品の成功の要因のようだ。煽ることもなく、センチメンタルに陥ることもなく、しかし、ラストの主人公が泣く場面でドラマのクライマックスを設定できたというこれは一種の奇跡のような映画である。
映画と出会う・世界が変わる
2011年5月30日

マイ・バック・ページ 泣く男の映画
大手新聞社の記者・沢田が自社の週刊誌の表紙モデルの少女と映画[ファイブ・イージー・ピーセス]に行き、その後、彼女は「私はしっかり泣ける男が好き」と言う。幾多の出来事を経て、その彼女も亡くなり、数年後に沢田がふと寄った居酒屋である人物と再会し、そこで涙を流す。このシーンは見事である。少女のひとことを伏線として、このラストは見事に生きている。居酒屋でのある人物との再会シーンのドラマとしても、最初に主人公が抱えていた後ろめたさと自省としても説得力がある場面である。見ている私も涙が出た。
映画と出会う・世界が変わる
2011年5月29日

マイ・バック・ページ
★★★★ 主人公の雑誌記者・沢田雅巳(妻夫木聡)が活動家の片桐優(松山ケンイチ)と出会い、事件に巻き込まれてゆく中で抱く様々な葛藤を描いた作品で、人間沢田物語と言った方が良いかもしれません。物語はこの2人が出会うことでそれぞれの運命が本人たちも気付かないままに捻じ曲がってゆく様をリアルに描いています。どこで道を間違ってしまったのか。沢田はボロボロ泣きながら、しかしダスティン・ホフマンの泣く姿が好きだという梅山の、倉田の気持ちが初めて解ったのではないでしょうか。妻夫木聡の名演技が光ります。
LOVE Cinemas 調布
2011年5月29日

マイ・バック・ページ
★★★ 暴力革命を志す者も、それを取材する人間も、実は倉田の立場と基本的に変わらない。「名を残す」が何より最優先されるべき"闘争"だ。どうせ死ねば名しか残らないのだから、死後も自分を残そうと思えば、手段なんて二の次で目的も手段化され、究極の目標は「名を残す」だ。ある意味全ての情熱はそのためにあるのかとさえ思える。ちなみに三島は自決し、保倉幸恵も自殺したらしい。だが竹本信弘も、川本三郎も自殺していない。彼らは少なくとも自分の命を賭けておらず、人を殺すことにはなにがしかの影響を与えた。もし勝利者はどちら側にあるかと考えれば、三島や保倉だろう。
佐藤秀の徒然幻視録
2011年5月28日

『マイ・バック・ページ』
.★★★★★妻夫木聡がエモーショナルに泣き崩れながら、知人の前なので照れ笑いを浮かべながらも、泣き崩れることを止めることが出来ない。というショットで妻夫木聡は素晴らしい俳優になったものだ。と思うと同時に[ファイブ・イージー・ピーセズ]のジャック・ニコルソンと、[真夜中のカーボーイ]のダスティン・ホフマンとジョン・ボイトと彼とが共鳴し合っている瞬間にも見えてきて、世界中の全部がつながってくる、という「松ヶ根乱射事件」で感じた感覚がよみがえってくるような不思議な心持ちになった。もう一度見直してみたい気もするので、とりあえず傑作だと思っておこう。
映画の感想文日記
2011年5月28日

レビュー:マイ・バック・ページ
「出会っちゃいけないふたりが出会ってしまって、からまっちゃったみたいな感じ」 という監督の言葉から、いわゆるオフビートなユーモアを予想していると、ときに鈍い火花が飛び散らすようなふたりの距離感に驚く。抜き身の包丁を手にして身構える松山に、妻夫木はカメラを武器に立ち向かう。たっぷり時間を使ったラストシーンは、妻夫木の独壇場。ここに至って、映画は原作をはるかにはみ出し、乗り越え、飛び出し、「あの時代」を宇宙的に俯瞰しながら、原作者である川本三郎の肩を優しくぽんと叩く。演技者としての妻夫木は[悪人]をはるかにしのいでいると見えた。
INTRO
2011年5月28日


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