ある子供:作品を観た感想(3)

【生命力】 「ある子供」 / ジャン=ピエール・ダルデンヌ , リュック・ダルデンヌ
「生きる力」とは、人生をおびやかすものと向き合い、その望みを打ち砕こうとするものとの極限の対決から浮上してくるものだ。 その力を増幅させる何よりの支えは、他者との連帯であり、信頼なのではないか。 差し込む一すじの光を頼りに、弱々しくも確かに踏み出そうとする若者のそばには、しっかりと手を握って寄り添う、かけがえのない他者の存在がある。 このつながりがあれば、どんなことでも乗り越えられると信じたい。
Augustrait
2006年1月8日

[ ある子供 ]自分の力で大切なモノを見つける
前作息子のまなざしに引き続きジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督はきょうびの若者の姿を見事に描き出した。 「ある若者」ではなく「ある子供」というタイトルは、若者の行動や考えの稚拙さを的確に表していると思う。 彼は間違っては、傷つく。これを繰り返す。観ている僕は途中から説教したくなるぐらい間違う。それでも彼はまた間違って、心にも体にも傷を負う。 この映画が他の作品と違うのは、そんなブリュノを説教する大人が全く出てこないことだろう。
アロハ坊主の日がな一日
2005年12月29日

ある子供
この映画、視点が容赦ない。 社会の病巣部というか、悲しみというか、病んでいる現状を描きその部分だけをすぱっと切り取り、私情をはさまずそれを映し出している。 行き先の見えない若者たち。 大人になるというのはどういうことだろうか。 少なくともこの映画に出てきた子供たちについて、これから先、すんなりと精神的な成熟が期待できるかといえば、到底そうは思えない。 ただしその「先が見えない」という事実を、うそ臭いメロドラマ・お涙仕立てにせず、誠実に、そのままを表現した、その姿勢に賞賛を送りたい。
Look At Me Inside
2005年12月19日

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