スチームボーイ


★★★★★
[アクション] [ストーリー] SFX

作品を観た感想 (3)

監督:大友克洋 AKIRA 蟲師 MEMORIES
出演者:
(声)鈴木杏、小西真奈美、中村嘉葎雄、津嘉山正種

あらすじ:
発明一家スチム家に生まれた少年レイは、ある日、祖父ロイドから謎の金属ボールを渡される。 だが、その瞬間からレイはとてつもない陰謀と冒険に巻き込まれていく…。 産業革命の熱気に沸く19世紀のイギリスを舞台に繰り広げられる大空想科学冒険アニメ。 

≪「スチームボーイ」を楽しむために:スチームボーイの作品世界〜19世紀のイギリス≫
『スチームボーイ』の舞台は19世紀半ばのイギリス。 イギリスは17世紀にオランダ、18世紀にはフランスを破って世界の海上権を握り、広大な海外市場を獲得していた。 国内では1765年にジェームス・ワットによる改良型蒸気機関が完成すると、瞬く間に産業革命の波は加速した。 蒸気機関動力は、エドマンド・カートライトが発明した力職機に代表されるよう、紡績機等への利用で生産効率を高めた。
1825年、ダーリントンとストック間の鉄道が開通し、公共鉄道として世界初の蒸気機関車ロコモーション号が走る。 これは「鉄道の父」と呼ばれるジョージ・スチーブンスンが実用化に成功したものである。 このほか蒸気船や発電機等々、現代工業文明の基礎となる様々な発明が一斉に花開いた時代でもあった。
『スチームボーイ』に登場するレイの祖父ロイドは、ジョージ・スチーブンスンと同じ頃に生まれたという設定。 蒸気船に乗ったとき、その動力部分に興味を抱いたことからロイドの研究が始まる。 多くの人たちが新たな発明に夢を託していた時代において、ロイドの息子であるエディ(エドワード博士)もまた、発明に夢を賭けていた。 『スチームボーイ』に登場するロバート・スチーブンスンは、ジョージ・スチーブンスンの息子である。 実在の人物だが、物語の中ではエディと20年来の研究仲間・ライバル同士という設定で登場する。
また、『スチームボーイ』でも描かれているロンドン博は、実際には1851年、世界初の万国博覧会として開催されている。 それはまさに当時のイギリス工業力における絶対的優位を示す産業博だった。 博覧会会場となったクリスタルパレス(水晶宮)もまた、19世紀建築にとってまったく新しい建築素材・鉄とガラスでできた巨大建造物だった。 工業力の全てを結集したかのようなロンドン博への期待と賑わいは、『スチームボーイ』の中でも味わうことができる。
――華々しい時代にあった当時のイギリス。 『スチームボーイ』ではただ史実を追うのではなく、時代のエッセンスを取り入れながら大友克洋監督によって組み直され、新たな発明にうごめく人々と、その未来を賭けて戦う少年レイの一大冒険活劇が描かれている。  (資料提供:東宝)

2004年製作 日 (126 min)

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