蜂蜜:作品を観た感想(7)

mini review 11547「卵/ミルク/蜂蜜 ユスフ三部作」
★★★★ 僕たちはだれも、この世界の奥深い秘密に翻弄されたり引き戻されたりするわけで、それは意識と身体がいつも自然性から捻れて存在することしか出来ない、ということを暗喩しているようにも思える。 2010年ベルリン映画祭で金熊賞をとり、世界を驚かせたこの俊英が描こうとしている世界は、かつてベルイマンらが人間の深層に降りていこうとした手法と、とても近似しているようにも思えるのだ。
サーカスな日々
2011年12月18日

ユスフ3部作『蜂蜜』『卵』『ミルク』
[蜂蜜]で感じたのは、少年ユスフの目線の高さで捉えたようなローアングルが印象的だったこと。しかしそのアングルは大人になったユスフの物語の中にも変わらず引き継がれ、かつて少年だったユスフの忘れえぬ目線として進行してゆく。ユスフの物語をトリロジーで見届けても、明瞭なカタルシスは訪れない。それでいい。3部作とはいえこれがユスフの全ての物語ではないからだ。描かれることのない、物語と物語のあいだにある語られない余白を、そこに流れていたはずのストーリーへ思いを馳せずにはいられない。まだ終わらぬ物語のその先へ。
シネマな時間に考察を。
2011年9月1日

*蜂蜜*
ある日巣箱を取り付けるため森に入っていったお父さんが…。それによって生まれ変わるユスフがこの映画の主題。最後浄化されたような気持ちになります。ただ色々観察し、想像力を働かせることが必要です。途中いい意味で眠気が来るのでそれとの戦いも必要。でも映画のひとつの原点ともいうべき作品で、音楽はほとんどなく、木々のざわめき、鳥のはばたく音、しとしとと降る雨の音などをクリアに聞くことができます。こういう音って普段私たちは聞き逃してしまってるものなのですよね。かなり難易度高いですが、素晴らしい作品でした。
Cartouche
2011年8月3日

蜂蜜
それにしても、映像のきれいな作品でした。全体的には説明が少なくて、最初は何が起きているのだろうかと戸惑ったりもしましたけど、ユスフが登場すると、彼の視点と共に物語の中に自然と入って行きました。彼の静かな瞳に映る世界は、寂しくてちょっと切ないですけど、好奇心と優しさもあります。全体的に考えるというよりは感じながら観る雰囲気の作品で、森の空気がスクリーンから漂ってくるようでした。そして、その中で自然と共に暮らしているユスフの姿は父への愛であふれていました。現代でもこういう世界があるのだなと改めて感じられる作品でした。
とりあえず、コメントです
2011年7月28日

蜂蜜
★★★★ とても美しく、詩情たっぷりの作品だった。この物語は紛れもなくユスフの成長物語である。夫の心配をしつつもゼーラはユスフの前では務めて明るく振舞っているし、ユスフはユスフで彼女の言いつけを守り、お手伝いをし、学校へと通う。ここでふと気付いたのが、これはもしかしたらユスフなりの"家を守る"ことなのかもしれないということだ。太い木の根に囲まれながら眠るユスフの姿は、森に帰っていった父の魂に抱かれているかのように安らかに見えた。まるで自然の音が奏でる一編の詩のような心地良さを覚える作品だった。
LOVE Cinemas 調布
2011年7月22日

蜂蜜
★★★ 上映時間103分の間、映画音楽は流れず、さらには台詞も極端に少ない。全体として物静かな雰囲気に呑まれて最後まで飽きるということはありません。都会生活を営む我々にはトックの昔に失われてしまった自然と人間との深いつながりがじっくりと描かれ、さらには父親と息子との強い絆が映画からうかがわれます。
映画的・絵画的・音楽的
2011年7月20日

「蜂蜜」
ある日、父親が忽然と姿を消してしまい戸惑う母と息子。父親の不在から吃音を持つユスフは話さなくなってしまう。ヤクプが森で木に宙つり状態になったのは息子ユスフの夢なのか?それともやはり現実?観るものも夢か現実か分からなくなってしまう。父親が事故にあった森に入ったユスフ…。その木は父親が登った木だったかも知れない。大きく広がる木の根は、それに身を変えた父親が息子を優しく抱きしめるようにも見え、ユスフに対してどこまでも愛情深く、心優しいヤクプを思い浮かべた。ユスフを演じるボラ・アルタシュがとんでもなく素晴らしい。
ヨーロッパ映画を観よう!
2011年7月11日


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